松枯れ現象を歓迎するツキノワグマ
長野県でも、松枯れ現象がひたひたと進んでいる。
この30年間に、松林が完全になくなってしまったところもある。
また、今現在も順次進行中な山野はたくさんある。
このような松枯れは、1本、2本と枯れて、徐々に進行していくので、その変化にほとんどの人が気づいていない。
「ああ、松が枯れている…な」くらいの視点でみているだけで、その松が枯れてから倒木になり、それがどう変化していくかまで気をまわせるような人は、いないからである。
しかし、ツキノワグマの食痕などを見ていくと、この松枯れによって倒れてしまった枯れ木が、少なからずツキノワグマに食糧を提供していることがわかる。
ツキノワグマは、ドングリだけを食べていると思っている人は多い。
だが、何百種類もの食事メニューをもっている。
その一つには、初夏から秋にかけて倒木に巣食うアリや各種昆虫類をかなり好んで食しているからである。このような昆虫たちの棲家を提供しているのが、倒木なのである。
樹木は生きているときには、それなりに森を形成しながら意味もある。
その樹木が死んで倒木となってしまっても、こんどは生きている樹木たちの栄養源となるためにその使命をまっとうする。
そのプロセスで、多種多様な昆虫類が自然環境の湿度や乾度などのかね合いから微妙な活動を続け、死んでしまった樹木を大地に還すために蠢くからである。
これらの昆虫類が、ツキノワグマの貴重な食糧になるからだ。
そんなツキノワグマの食事痕が山野には数多くみられるから、マツクイムシによる松枯れ現象はある意味ツキノワグマには歓迎されている、と思っていいのである。
写真上:今年の3月、福井県で見た松枯れも見事だった。
写真中:枯木、倒木のツキノワグマ食痕。
写真下:マツクイムシを殺すためにビニールで囲って薬剤処置もするが、こうした薬剤もツキノワグマにとっては「良薬」になっている可能性もある。
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