なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2010/9/7 火曜日   ツキノワグマ日記

ツキノワグマの個体数把握はかぎりなく可能に近づく

この30年間で、「ツキノワグマは確実に増えている」、とオイラは一貫して言ってきた。
それなりの根拠があるから、自信をもって言いつづけてきたのであるが、それを認める人はほとんどいない。
一笑にふされることも、ある。
どうやら、ツキノワグマはいまの日本では増えてはいけない動物、なのだ。
滅びに向かって減少していく動物でなければいけない、のである。

まあ、それもよかろう。
そのような考えの人は、現在目の前にある日本の自然環境を的確に見れない技術しかもちあわせていないのだとオイラは見ている。
野生動物の生息数を割り出すことは、たしかに常識的なセオリーしか持ち合わせてない人にはのっけから諦めの境地であろう。
だから、希少種で減少しているから観察できないのだと、技術のないところをクマの数の少なさに転化させているような気がする。
だが、オイラは違う。
写真家として、自分のカメラ技術がどこまで通用するのかをいつも考えているから、誰も考えないような発想力で「発明」をしたまでだ。

それが、「クマクール」と「マタミール」。
熊がほんとうに来るから、「クマクール」。
そして、雌雄の区別をするべく股間を見るから「マタミール」、なのである。
これを無人撮影で同時にやってしまうのが、オイラの天才的な発明である。

撮影だけではない、ツキノワグマが確実にやってくるようにするには秘伝の「媚薬」がいる。
この媚薬だって、ツキノワグマをしっかり観察していて自分で考えついた。
だから、この装置はオイラにしか使えないのである。

今年も、本州ではいろんなところにツキノワグマが出没して話題になっている。
なのに、異常気象だとか、奥山が荒廃しているからだとか、ドングリが少ないからだとか、相変わらずのコメントしか聞こえてこない。
ツキノワグマの個体数が多ければ、それだけ目撃数も増えるのではないのだろうか?
一体全体この日本の国土にどのくらいのツキノワグマが生息しているのか、それを割り出すのがいま優先順位としてはいちばん大切なことだと思う。
それなのに、大金を投入したGPSだけが確かな研究だと思い込まれているところがあるし、ヘアートラップによるDNA調査だとか、歯を抜いて年齢査定や頭蓋骨測定をしたり、ワンパターンな学習放獣を繰り返していても、いま現在大量に生息するツキノワグマの全体動向には何の役にもたってないとオイラは考える。

このため、ツキノワグマがどのくらい生息しているのかということはオイラにとっても緊急課題だった。
そこで昨年からクマクールの実験をやっていたが、今年でそのメドがついた。
とにかく、最近の収穫では一夜に5頭ものツキノワグマがクマクールにやってきたし、417枚もの撮影が一夜にできてしまったからだ。
これらの稼動は今現在でも進行中で、あとは2kmメッシュでクマクールの展開をはかればかなりの実態が分かってくると信じている。
これには、どこからも補助金など貰ってないし、すべてが自前なのでどこに気兼ねすることもなく気楽にたのしめるというのもいいことである。

写真上から:
1)耳ピアスの番号まで読めるから、放獣個体の追跡も可能だ。
2)こんな写真が連日連夜撮影されるから、新顔個体の発見には胸躍るものがある。
3)マーキングをしたり、取っ組み合いのけんかをしたり、複数個体間の親密度関係までもがよくわかる。
4)股間や腹部は、外側からでは分からない特徴もあってかなり複雑で面白い。

(from/ gaku )

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