ツキノワグマは味覚党
オイラの知人から、ツキノワグマの舌が届いた。
知り合いの猟師が仕留めたものをもらったそうだ。
「タン塩で食べると美味しいぞ!
そう言われてもらってきたけれど、気持ち悪くて食べられないのでgakuさんならと思って持ってきたさぁー」
そういって、冷凍になったツキノワグマの舌を渡してくれた。
そういうことなら、何ごとも体験なので食べてみることにした。
解凍をしてから輪切りにして、焼いてみた。
しっかり焦げ目がつくくらいに焼いて、塩をちょんとつけて食べた。
なかなかに、歯ざわりがよくて、「タン」の味がした。
まあ、クマといわれなければ牛でも豚でも同じ食感でわからない。
ツキノワグマだからといって、牛タンや豚タンで十分に「タン」の味は楽しめるのだから無理して食べるものでもないような気がした。
そんなツキノワグマの舌を、一応は写真に撮っておいた。
そして、データを整理していてひとつの発見をした。
なんと、舌の奥のほうにV字型に二重丸のような形をした「味覚」を測るらしきパーツが並んでいたからだ。
舌には、「味蕾=みらい」という器官があることは知っていた。
この味蕾は、乳首のような突起だから小さなものがびっしりと舌全体にはある。
しかし、今回発見したV字型の器官はそれよりかなり大きくて直径が3~6mmもある。
センターのものがいちばん大きくそれを中心にして、あとは4個ずつV字に広がっていた。
どうやら、これは味覚の総元締めなのではないか、と思った。
が、しかし、このような器官がツキノワグマの舌にあることはこれまでまったく知らなかったことである。
こうして、ツキノワグマの舌がオイラの手元に回ってこなければ気づかないことだった。
しかも、オイラは、写真を「一応撮っただけ」で舌の表面を確かめることなく切り刻んでしまった。
それを、後に写真を調べてみて知った次第。
はじめっから、このようなことが分かっていれば、興味深くもっと解剖でもして調べたであろう。
とまあ、ツキノワグマの舌がこのような構造になっていることを発見しただけでも、またひとつ好奇心が湧いた。
ツキノワグマは、相当に味覚には貪欲でいろんな「味」を楽しんでいるのではないのか、と思ったからだ。
そう思ってみると、かなり広範囲にいろんな食物を食べていることにも合点がいく。
ツキノワグマがドングリしか食べていないと考えている人たちには、こんな味蕾のことまで想像も及ぶまい。
いろんなグルメを楽しみ、それぞれの味に目を細めているからこそこのように「味蕾」が発達しているのではないのか。
いったいこの舌でどんなグルメをしてきたのだろうかと、ツキノワグマに聞けるものならば聞いてみたいものだ。
この発見で、オイラにはまたひとつツキノワグマを見る目が変わった。
観念論だけでツキノワグマを語るのではなく、いろんなパーツにも目をとめ、その意味を探ることでより詳しくツキノワグマのことを知ることができると思うからだ。
こうした好奇心だけは捨てることができないから、これからもいろんなところに目配りをしてツキノワグマ全体を見ていきたいと思う。
写真:
1)樹上でアリでも舐めたのだろうか、舌をだす貴重な写真が撮れた。
2)ツキノワグマの舌。囲みの部分に総元締めともいえる味蕾の親分がみえる。
3)矢印の部分が特別変わった味覚器官。
4)タンは、しっかり焼いたほうが味があって美味しかった。
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