なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2006/12/21 木曜日   ツキノワグマのニュース

巨大なツキノワグマの生涯

片足の熊

体重140kgの巨熊を仕留めたという連絡が、猟師から入った。

猟師歴40年というベテランだが、これまで見たこともないという大きなクマに興奮気味だった。

さっそく出かけていって、巨熊と対面してきた。

たしかに大きなクマだった。

人間でいえば80歳以上のツキノワグマであろう。

オス熊、だった。

そしてよくみれば、なんと左の後足が足首からなかった。

若いころに「くくり罠」に足をとられて、足首から下がそのまま壊死したのだろう。

しかし、なおもこの熊は生きたから、壊死した足に新しく皮が張り「足の裏」ができあがっていた。

不便だったであろうが、こうして足の裏を再生させてこれまで生き延びてきたのだった。

再生された足の裏

野生動物の社会には、病院もなければ福祉もない。

こうしたなかで生きてきたこの熊の生命力にも感心するが、オス熊だっただけに、これまでに強い遺伝子を近隣のクマ社会にたくさんばら撒いてきたにちがいない。

そして、たとえ猟師に撃たれたとはいえ老境まで生きてきたことに感心してしまった。

猟師も、『よくぞここまで生きてこられたものよのぅー』と驚いていたが、老境ゆえに判断力も鈍っていて撃ちとられてしまったのだろう。

このような老齢のクマ肉は商品価値が極端に落ちるが、大消費地の東京へ丸ごと引き取られたという。

はたしてその値段がいくらだったかは明かせてもらえなかったが、都会では140kgが10倍以上に分割されて「けんたん家」をよろこばすにちがいない。

写真上:左足首から下がない。

写真下:傷口を丁寧に舐めつづけて、とうとう足の裏の皮を再生させた。

     傷口は、すっかり足の裏と同じ弾力性を保っていた。

(from/ gaku )

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