確実に潜伏潜行するツキノワグマたち

中央アルプスから、ノウサギが消えて久しいことはこれまでもいろんなところで発表しつづけてきている。
ノウサギの生息環境である「森」が変化してきている、からである。
それが、ここ数年前からほんの少しではあるがノウサギ復調の兆しがみえてきた。
今年(2011年)の2月に、久しぶりで足跡を見つけた地域があったからどんな顔をしているノウサギなのかを確かめたくてロボットカメラを設置してみた。
すると、1ヶ月という時間がかかってしまったが、大きなノウサギの姿が確認できた。
そして、雪が溶けてしまってからは、足跡や糞などまったく見られなくなり行方を心配していた。
そこで、再度探るべきロボットカメラを設置してみたのが5月上旬のこと。
ノウサギが生息していれば、確実に使うであろう「けもの道」へカメラを設置したのだった。
だが、やはりノウサギの数が絶対的に少ないので確率が悪く、なかなか写されなかった。
やがて、1ヶ月が経過した6月4日の午前3時29分にカモシカが撮影された。
この場所には、カモシカもいるから、やがては写るだろうと予測はしていたがやはり、である。
そして、4日経った6月8日の夜7時27分に待望のノウサギが撮影された。
2月の個体とは、あきらかに大きさが違い別個体だった。
こうした結果から、ノウサギは少数ながらここに生息していることが判明した。
やはり、黙して語らない自然界は、こうして地道に時間をかけて見届けていかなければならない。
いや、それをするのが当たり前であり、オイラは自分で調べたことしか発信しないのはそこにある。
それが、自然を語る自信につながり、いい加減なことは言いたくないというオイラの安心感をも支えている。
このあと、ここにはものすごく用心深いイノシシのいることが足跡でわかっていた。
たぶん、そのうちにイノシシもカメラには確実に引っかかるだろうと思っていた。
それは、自分自身で設計製作したロボットカメラだから、その性能には自信をもっているからだ。
そのイノシシが、6月28日の夜9時についに捉えられた。
立派なキバをもつ雄のこれからという、イノシシだった。
そんなイノシシがカメラのモニターで確認できたから、メディアを抜いてきた。
そして、PCに取り込んで画面を確認していたら、ツキノワグマの見覚えのある後ろ足の裏がイノシシの前カットサムネイルに発見できた。
カメラのモニターではまったく見落としてしまう、熊の足の裏だった。
普段ならばこのようなカットは現場で消去してしまうものだが、今回はイノシシもあったから偶然に持ち帰って救われたという次第。
そのツキノワグマは、イノシシが撮影される3時間半ほど前の6月28日夕方5時20分のことだった。
今日が6月30日だから、2日前のその時間にオイラはカメラの点検で現場に出かけていた。
このときに、ツキノワグマがいて、オイラに気づいて逃げていったのだ。
ロボットカメラは、自分で設計して製作しているから性能はすべてわかっている。
なので、カメラからツキノワグマまでの距離を見れば、熊がどれだけのスピードで歩いていったかまでその映像から読み取ることができる。
この現場には、日常的にツキノワグマがいる場所だ。
糞やクマ棚などの痕跡から、確実に生息しているから注意だけは怠らなかったが、しかし、これまでいちども出会ったことはなかった。
だが、こうして後ろ姿が撮影されただけでも、見えないところで確実に行動していることが再認識できた。
たぶん、かなりの確率でオイラも熊とニアミスを繰り返しているのだろう、とつくづく思った。
しかも、この場所は公園にも近く、多くの市民が散歩やジョギングにもきているところ。
市民のだれもが野生動物なんていないものだと油断しているのだろうが、このようなロボットカメラを使って初めてツキノワグマや雄イノシシの存在がオイラにもわかるというものだ。

こうしたロボットカメラからの発見から、オイラは周辺環境を予測し自分の経験的直感力を活かしてこれまでも野生動物たちを探り語ってきている。
そのために、いかにロボットカメラの活用がオイラには有効かということを、いやというほど分かっている。
だから、「ツキノワグマはどこにも確実に生息しているのだ」ということをオイラは自信をもって言いつづけられるし、今後の実数把握にもつなげることができる。
また、ノウサギの生息状況によっては、捕食者であるクマタカやイヌワシの巣観察もつづけなければならないし、そこから日本の森の実態を読むこともできる。
まさに、オイラのロボットカメラ活用術、なのである。
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>ものすごく用心深いイノシシ
って、足跡から分かってしまうんですか!
コメント by そ — 2011/6/30 木曜日 @ 18:52:40
■そ さん
>>ものすごく用心深いイノシシ
>って、足跡から分かってしまうんですか!
そう、ですよ。
まさに、「足跡は語る」です。
コメント by gaku — 2011/7/1 金曜日 @ 8:00:39
なぜか、らとびねこが消えていました。
垂直に近い崖を登る足跡を観て「すんごい脚力!!!」と思い
そこらじゅう足跡で、ボッコボコになった土を観て「荒っぽい動物だなあ!こんな奴と出くわしたくないもんだ」と思ったくらいで。
今度、足跡を見るチャンスがあったなら、じっくり観察してみます。
コメント by そらとびねこ — 2011/7/1 金曜日 @ 21:03:07
■そらとびねこ さん
イノシシの存在は、むしろ熊より破壊力があるので人間が襲われれば致命傷になることが多いものです。
なので、この写真に写ったオスのイノシシは、かなり警戒しなければならないと思っています。
コメント by gaku — 2011/7/2 土曜日 @ 8:26:39
このイノシシはカメラに気がついて急反転しているように見えます。
以前、熟睡しているツキノワグマにこちらも気がつかず手の届くところまで近づいたたことがあります。
去年の春には笹藪で2メートルのところから走っていきました。このクマは3歳目ぐらいで、私の接近を知っていました。
そのうちクマよけの鈴など効果がなくなります。
山が青くなるとクマがそばにいても人にはわかりません。
gakuさんの記事のように知らずにニアミスはたくさんしていると思います。
コメント by bbear_mts — 2011/7/2 土曜日 @ 16:49:24
■bbear_mts さん
>このイノシシはカメラに気がついて急反転しているように見えます。
そうですよ、赤外線エリアに入ってしまって気づき反転するつもりが、オイラのカメラのほうが敏感に記録してしまったからこのような写真が撮られてしまったのです。
オイラの写真から「何を読むか」、さすがですbbear_mtさん。
コメント by gaku — 2011/7/2 土曜日 @ 21:23:46
東北地方日本海側のツキノワグマ事情のトピックでコメントさせていただいた山歩人です。
ここ数年歩き回っている地元愛知の海上の森で、昨年秋、尾根筋の道を歩いているときに、イノシシが前方10m位を横切っていった、というよりは片側の斜面から駆け登ってきて、尾根の道を飛び越えて反対側の斜面を駆け下りていきました。
>イノシシの存在は、むしろ熊より破壊力があるので人間が襲われれば致命傷になることが多いものです。
目に焼きついているのは、跳躍して宙を飛んでいる瞬間のイノシシの姿です。野生のイノシシを見たのは初めてでしたが、ここの写真よりももっと太って貫禄がありました。いわゆる大物という部類でしょう。あれだけの巨体にもかかわらず跳躍して尾根道を飛び越えるパワーは相当なものと思いました。
もう10m手前で飛び出してきて体当たりでも食らっていたら、gakuさん言うとおり致命傷というのは間違いないと思います。ひょっとして用心深いので避けてくれたのかも知れませんが。
隣の三重県では、何年か前にみかん畑の様子を見に行った人が戻ってこないので家人が見に行ったところ、畑で死んでいたという事件があり、捜査の結果イノシシにやられたらしいという事でした。
海上の森の集落はイノシシの被害に悩まされていて、散策道にはイノシシ注意の立て札もありますが、本物を間近で見て、結構ヤバイところだなあと思いながら帰りました。
その2週間後くらいから、海上の森やその近辺でクマ目撃例が頻発しました。その時ばかりは本当にヤバイところだと思い、さすがにちょっと足が遠のきました。
もっと以前に海上の森の林道を歩いているときに、カモシカが前方20m位を横切っていったことがありました。その次はイノシシ、そして今度は? クマはちょっと勘弁願いたいものです。
コメント by 山歩人 — 2011/7/7 木曜日 @ 0:44:18
■山歩人 さん
イノシシは、ほんとうに注意しなければ危険な動物です。
三重県では、イノシシとの交通事故で亡くなられた方もいましたね。
ミカン畑で襲われ亡くなられた現場もボクはみてきましたが、そうならざるをえない問題を人間の側がつくってきていたところもありましたので、
イノシシをはじめ野生動物と人間との関係をもっと深いところで誰もが理解しなければならない時代にきています。
自然に対して忘れものばかりをしてきている現代人ですから、これからも、野生動物の関係するさらなる事故は必ず起きていくと思います。
コメント by gaku — 2011/7/8 金曜日 @ 7:17:37
私の住んでいるところは雪国で2m以上、多い年は3mの積雪がありますが、近年イノシシが現れるようになりました。
これまで、夏から秋にかけて目撃されていたのですが、去年の暮れから今年の1月に6、7頭のイノシシが捕獲されました。
gakuさんの言われるように野生動物はどんどん勢力を拡大して行きます。クマ、サルの被害で畑に作るものが無くなり耕作放棄地が増えています。
これにイノシシでは山村から人が駆逐されてしまいます。
狩猟者は絶滅間近ですから対抗できません。
小熊の兄妹は元気で、保護したとき2.8kgと2.5kgだったのですが今では7kgほどになりました。
今年の冬までどれぐらい大きくなるだろう。
最近はやわらかめのご飯も食べます。
1m立法の檻に入れているのですが食事と掃除のとき庭に放してやります。
「まだ」とてもかわいい小熊です。
でも、そろそろもっと大きな檻を用意しなければなりません。
引き取ってくれる動物園を探しているのですがなかなか見つかりません。
コメント by bbear_mts — 2011/7/8 金曜日 @ 12:07:43
>イノシシは、ほんとうに注意しなければ危険な動物です。
海上の森は里山レベルですが、山道でイノシシの足跡はよく見かけます。また、うなり声らしきものも聞いたことがありますし、ヌタ場でもあるのか、転げ回っているようなガサガサという騒がしい音も聞いたことがあり、ちょっとした危機感を覚えたこともあります。
山を歩く際のリスクの一つであるクマについてgakuさんのサイトで勉強しようと思っていましたが、イノシシも加えておく必要性を改めて感じます。
まずは、山は動物の領域ということを今更に認識しておく必要がありますね。人間の領域はごくわずかな山道程度で、まわりには何が潜んでいるかわからないというリスク意識を持つことは必要と思います。クマ、イノシシ、スズメバチ、マムシなど、大小いろいろいますから。そして後は、gakuさんの仰るとおり観察眼を磨くことなんでしょうね。
コメント by 山歩人 — 2011/7/9 土曜日 @ 12:53:12
>「ツキノワグマはどこにも確実に生息しているのだ」
僕もそう思います。
去年の春に「ツキノワグマなんていない」と言われていた男鹿半島で山菜とりをしていたら、カエデ類の幹にクマらしき爪痕が…
フィールドサインに気づいても、この辺りにはいないで済ませてしまう心理は野生動物を調べる上で危険だと感じます。
話は変わりますが、アカネズミの調査で僕が用いていたツールはシャーマントラップによる捕獲と遺伝子解析です。トラップにはサツマイモとヒマワリの種を入れているのですが、クマにトラップ壊されエサがとられることがありました。
クマは本当に鼻も効いて力もあるということを実感させられました。
コメント by アカネズミ — 2011/7/9 土曜日 @ 19:05:10
■bbear_mts さん
>野生動物はどんどん勢力を拡大して行きます。
>クマ、サルの被害で畑に作るものが無くなり耕作放棄地が増えています。
>これにイノシシでは山村から人が駆逐されてしまいます。
日本は、原発事故で農地がかなり減ってしまいましたから、これからは間違いなく農産物の食不適が起こり深刻な食料不足を視野に入れていかなければなりません。
獣害に関係なく都会の安全地帯に生活して、野菜ひとつ作れないような人たちが「自然保護」を唱えて山村の住民に圧力をかけているのも問題でしょう。
自然をほんとうの意味できちんと理解する心が残念ですが日本社会から消えてしまいました。
もう、ボクは諦めていますので、少しだけ本などで遺言を残しているようなものです。
クマの引き取り手がなければ、放獣は危険ですので、最終的な覚悟も決めておかなければなりません、ね!
■山歩人 さん
>山は動物の領域ということを今更に認識しておく必要がありますね。
そうです、豊かな自然環境には、クマもイノシシもマムシもスズメバチもセットになっているのが「豊か」なんです。
そのところをきちんと覚悟して山歩きをしなければいけないと思います。
■アカネズミ さん
もう一つのブログ「今日のヒトコマ」に白いタヌキのことを書きましたが、遺伝子を時間かけて追っていけば相当におもしろい結果がでると思います。
いまの研究者は、重箱のなかに入りこんで亜流ばかりを追っかけているようで、大胆な大きな発想力がないのが残念でなりません。
クマを追うのも、ボクはそうしたところへの疑問から発生して、どこにでもたくさんいることに気づいたので写真による視覚言語で発信しているまでです。
コメント by gaku — 2011/7/16 土曜日 @ 9:09:08