なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2007/3/4 日曜日   ツキノワグマ日記

ツキノワグマの隠れたサイン

松枯れ現場

犬の散歩で近所の河川にでかけた。

ここは、「どんぐり養生中」で立ち入り禁止区画のある場所として、以前に発表した同じ河川域だ。

春から秋にかけては、ツキノワグマの日常的行動域になっているところだから、風景一つ見るにも複眼発想が求められる場所でもある。

㈰ 松枯れがどんどん進んでいるなぁー 

㈪ あそこに倒れている松は、5年前か、10年前になるのかなぁー

  まだまだ、松枯れ予備軍がいるからこういう風景も撮影しておかなくてはならないぞぅー

㈫ あそこにクルミの木があるが、「クマ棚」がないなぁー

  この木から200m下流にはクマ棚が4個もあるから、この木だってクマがチェックしたにちがいない。

㈬ おや! クルミの木の脇に倒れている松枯れのところがおかしいぞ。

  色も変わっているし、何者かが荒らした跡がある。

  クマがアリの蛹を食べた跡なのかもしれない…

犬とともに、現場まで登っていき、腐った松枯れの幹の乱れぐあいを確認してみた。

枯れた幹をこのような荒らしかたをする生物のあらゆる可能性を消去法で迫っていくと、最終的にはツキノワグマしかボクの頭には残らない。

松アリ食い

果たして、これはツキノワグマの仕業なのだろうか?

疑問ばかりがふくらみ、正体をつかみたいという好奇心がわいてくる。

このような痕跡がフィールド内には大小いくつも見られるから、やはり、その正体を知ることは「自然界を知る」ためのボクの仕事でもある。

たぶん、アリか甲虫の幼虫を食べにきたのだから、その時期は5月から10月まで、だろう。その時期のいつかはこうした倒木をチェックにくる野生動物たちがいるので、その時期だけを重点的に無人カメラで張ればいいではないか。

それには、センサーは「ミシン糸」のようなもので充分だ。

痕跡からして、現場では長時間このような行動を起こしていくのだから、センサーが作動してからカメラやストロボをスリープ状態から目覚めさせれば充分である。

この方法なら、電源管理もラクだし、なによりも機材を長期間放置することだってできる。

それには、例のハイテク制御装置をかましておけば、万全だ。

機材は、一線を退いたフィルム一眼レフカメラがゴロゴロしているから、これらを投入すればいい。

と、まあ、こういうかたちでボクは自然界からのサインを見つけだして、それを自分の好奇心と行動力で手探りしているだけなのである。

こうやって、半世紀以上のキャリアをつくってきた。

これは、子供の頃から変わることなく今日まできているのだから、万事がこうしたちょっとした不思議なサインへの好奇心を忘れずにいれば、黙して語らない自然界を探ることはできると思っている。

写真上:どんな自然界でも、番号順のように視線を流していけばなんらかのサインにぶるかるものである。

写真下:こうした痕跡はあきらかに大型野生動物の仕業としか考えられない。

(from/ gaku )

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