なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2011/4/26 火曜日   ツキノワグマ日記

東北地方太平洋側のツキノワグマ事情

原発事故で一躍有名となった福島県の大熊町。
大きな熊の町とは、妙にひっかかる町名なので調べてみた。
すると、大野村と熊町村が合併してできた町名だということが分かった。
しかも、町内にはかなり「熊」に由来する地名があった。
この村は、その昔にたぶんツキノワグマが出没していたのだろう。

そこで、オイラも自分の考え方をまとめておく意味で太平洋側の自然環境を見ておく必要がある。
それには、若葉の繁る前に東北地方を旅してみようということで出かけることにした。
まず、新潟周りで福島の郡山へ入り、そこから原発地帯へと向かった。
しかし、大熊町はすでに立ち入り禁止区域。
まあ、そこにいたるまでの山容だけでも見届けておけばいくらでも参考になるから危険地域に入らなくてもいい。

福島県の会津地域にはかなりツキノワグマの痕跡が見られたが、浜通りといわれる海岸地方にはまったく「クマ棚」がみられなかった。
しかし、山野の林層はツキノワグマの生息に充分なところだった。
計画避難区域となった「飯舘村」も丁寧に探してみたが、クマ棚は見つからず。

そのまま、岩手県の宮古市まで、ジグザグに移動しながら山容を見てまわった。
あるときには双眼鏡で、またフィールドスコープで確認する、といった調査だ。
結局、岩手県の遠野市で一つだけクリの木にできた「クマ棚」を発見できただけだった。

しかし、途中で聞き込みなどをしていけば、ツキノワグマは確実に生息していた。
それも、地域によってはかなりの高密度で。
もちろん、ニホンジカも急速に増えているようだった。

西日本などでもそうだが、地域によってはクマ棚がまったく目撃できないところもある。
だが、そのようなところにもツキノワグマは確実に生息している。
クマ棚の発見は、ツキノワグマの行動の裏づけには必要だが、クマ棚をつくらないところでは生息個体が網から抜けてしまうことがある。
今後は、このようなところでの探索方法の確立が求められるだろう。
たぶん、オイラの考えではツキノワグマでも多様な嗜好度があるから、餌となる食域がかなり違っていると思う。
それには、予測を超えた発想力で迫る必要があり、それを探ることが各地でのこれからの課題ではなかろうか。

ここまで見届ければ、オイラの気持ちはすでに東北の脊梁山地と日本海に向いている。
これから移動だ。
その昔、イヌワシやクマタカの営巣地をひとり探し歩いたこともあるから、どんな動物だって山容をみればオイラには分かってしまう。
今回は、ツキノワグマの仕上げ旅のつもりである。

写真:
1)東北地方にも、広大で見事なクヌギ林は多い。
2)林内は、なかなかにいい環境だ。
3)畜産農家の後ろに、ぽつんとクマ棚がひとつ。
4)多くはないが、このような看板も見受けられた。


(from/ gaku )

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3 Comments

  1. もう、日本海側に来ているかもしれませんが、ツキノワグマが多い秋田県も見ていってください。

    私は秋田市在住ですが、4月28日の午後は空いていますし、29日も空いています。
    この日でありましたら、秋田市周辺の山間地をご案内することができます。

    Comment by akke — 2011/4/27 水曜日 @ 3:48:31

  2. はじめまして   m(._.)m

    福島原発から21kmの阿武隈高地(中通りと浜通りの中間)に住んでいるかんぷら芋(ジャガ芋の方言)と申します。
    この辺の山はコナラ・クヌギの多いところです・・・が、極相林というのではなく人工的にそのようにしてきたものではないかと思います。

    私の家では、
    昔は薪炭の材料として・40年前からはシイタケの原木として・また落ち葉を腐葉土とするために・・・自分の山をコナラ・クヌギになるように手を入れてきました、里山という概念のものでしょうか?
    しかし、山に依存しないで生活している人は、
    30年も50年もコナラ・クヌギ山を放置しています。
    まだ、ナラ枯れは発生していませんが・・・数年でしょうね。

    コナラ・クヌギといった樹種は17~25年ぐらいで切らないと萌芽更新しにくくなるので私の山は切っていますが、ちょうど17~25年ぐらい過ぎると大量の実をつけるようになりますので50年も切らないと・・・。
    スギ、ヒノキ、マツといった針葉樹の人工林は放置されているものも多いですが、皮の剥がされたものは見たことがありません。

    昔は阿武隈高地には、居なかった?居ないと言われてきた?ツキノワグマが15年ぐらい前から目撃されています。
    飯舘村、隣の葛尾村・テレビで有名なダッシュ村の地区でも目撃例は多いのですが、個体数が少ないためか?熊棚は1つしか見たことがありません。
    イノシシは、吃驚するぐらいに凄く増えているのですが競合しながら落ちた実を食っているのでは?と思います。
    親子熊の目撃例もありますので繁殖しています。
    日本蜜蜂を襲われた方もいます・・・私は毎年20~30群ぐらい飼っているのでハラハラしています。

    個人的には目撃の歴史から宮城白石の方から阿武隈川をどうにかして越えてきたのではないかと思っています。

    最後に皆さん!!
    放射能濃度のとても高いところばかりですから近付かないことをお勧めします。

    Comment by かんぷら芋 — 2011/5/16 月曜日 @ 19:17:07

  3. ■かんぷら芋 さん
    はじめまして、
    今回は福島県を旅してみて、ほんとうにすばらしいところで驚きました。
    浜通り、中通りの意味が旅で理解できました。
    阿武隈高地には、クマ相当に生息していると思います。
    そして、食性も多様性をもっているのではないでしょうか?

    それにしても、原発から21kmとは心配ですね。
    また、時間がとれたら福島へ旅してみたいと考えています。

    Comment by gaku — 2011/5/18 水曜日 @ 23:53:26

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