中国山地のツキノワグマ事情

中国地方のツキノワグマは「孤立群」で生息数が少ないから、何とか保護をしなければならない。
いまの日本では、そんなツキノワグマ感が普通に語られている。
それに対して、だれもが疑問を挟まないし、そんなものなのかといった意見で容認しているようなところもある。
だからオイラは、そんな中国地方のツキノワグマも、かなり気になっていた。
ここは、世間の雑音をすべてリセットして、オイラだけの自然観で現地の環境を見ておくことも必要だと思った。
中国地方にはこれまで、山陽道や中国自動車道を何回か往復してきたし、鳥取や島根県などからの山越えルートも車で走って、周囲の環境は見てきている。
こうした観察から、ツキノワグマの「クマ棚」も実際に随所で目撃しているし、そう悲観的になることもないだろうと考えてきた。
そこで、3月中旬に中国自動車道を再度往復しながら、改めて見直してみたのである。
結論としては、中国地方には相当数のツキノワグマが生息していると断定できた。
そして、「孤立群」ではないことも確信をもって言うことができる。
それは、中部地方から山口まで、とにかく山野が連綿と続き、すべてがつながっているからである。それらの山野をツキノワグマは確実に移動できているから、まったく「孤立」なんてしていない、のである。
しかも、それらの山野の樹相は驚くほどにコナラ(クヌギ)などの林が広範囲に展開されていて、ツキノワグマの減少要因なんてまったく考えられないからである。
オイラが現地に暮らしていれば、「クマクール」を工夫して生撮影と超アイデアによるヘアーサンプルをばんばん確保するであろう。
今日の日本の野生を語る場合、セオリー通りの観察しか考えつかないようでは、いつまでたっても野生動物の実態はつかめないものである。
中国地方では、イノシシやニホンジカの激増は誰もが認めているように、ツキノワグマだって同じ土俵に生きている日本の野生動物であることを忘れてはならない。
それには、大胆な発想転換と行動力で迫らなければ、見えるものも見えてこないのではないか。

中国自動車道を走ってみれば、とにかく随所にコナラなどの広葉樹林が展開されている。
このような山容をみて、ツキノワグマがどこをどのように行動するのかそのルートを探るのも楽しみのひとつであろう。

山口県から島根県に入ってまもなくの上り線「深谷PA」。ここに立ち寄って西の山を双眼鏡で見れば、○で囲った範囲にかなりのクマ棚が目撃された。現場の山野に分け入れば、もっともっとツキノワグマの痕跡に出会えるにちがいない。

上り線の「吉和SA」に入り、営業をしていないガソリンスタンドの屋根越しに南西方向の山をみれば、○囲い付近にいくつかのクマ棚が目撃できる。山の深さからいっても、内部に入ればかなりの痕跡があることだろう。

「吉和SA」下り線の売店屋根越しに東をみれば、○で囲んだ付近にも若干のクマ棚が目撃できた。環境からみても、内部を丁寧に調査すれば相当数の痕跡を探すことができることだろう。

上り線の「筒賀PA」に立ち寄れば、反対側にある下り線のPA裏に立派なクマ棚が目撃できる。
PAトイレから60mくらいかも知れないが、このクマ棚では2~3日ツキノワグマが寝ていた可能性もある。

上り線を走ってくると、「筒賀PA」に入る手前のトンネル入り口(矢印あたり)には多数の立派なクマ棚が一瞬だったが目撃できた。あらかじめ存在が分かっていれば徐行できたが、とにかく高速だったので視野に一瞬飛び込んできただけであるが、まちがいなくかなりしっかりしたクマ棚が多数あった。

「筒賀PA」から北広島JCTまでの間で下り線の脇にも、クマ棚が目撃された。樹種は栗の木だったと思う。
これも、一瞬だったので徐行する間もなかった。

「クマ」注意標識は六日市IC付近だったと思う。
中国自動車道では、上下線共に、ここ一カ所だけの「クマ」の標識であり貴重品。
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いや~見事にクマ棚だらけですね。参りました。
クマ棚で寝ることもあるんですねぇ。バランスをとるのが大変じゃないのかな。。。と思ったり。
今度実家に帰ったら、双眼鏡を持ってクマ棚探しに行ってみます。
コメント by kana — 2011/4/8 金曜日 @ 20:17:25
実家が広島の田舎ですが、両親だけで暮らすようになったら早速、家の周りの栗や柿の木を切ってました。
たまに里帰りするとさびしく思っていましたが、このサイトで切った理由が分かりました。
コメント by yoshi — 2011/4/8 金曜日 @ 23:05:23
■kana さん
■yoshi さん
そうなんです、クマはどこでも「となりのツキノワグマ」状態。
コメント by gaku — 2011/4/13 水曜日 @ 10:30:35
はじめまして。 昨年の秋に宮崎学さんの写真集を書店で3冊購入して、とっても感動しました。 特に、「クマのすむ山」の表紙には、泣かされました。本物のクマがまるでカメラマンのようで、それを、別に仕掛けた自動カメラで撮ってるなんて、考えられない技だと!凄く感動しました。
しかも、方々でのクマ棚、糞や、熊の生態、行動をくまなく観察されているのには、只只驚きです。
クマは、間伐もして、山を雑木林に戻してくれるんですね!せめて、柿や栗を食べさせてあげてください。
コメント by kondou — 2011/5/21 土曜日 @ 2:11:08
■kondou さん
はじめまして。
拙著お買い上げありがとうございます。
クマ意外のものでも、かなり視点を変えた自然の見方を提供していますので、別の本もぜひよろしくお願いいたします。
コメント by gaku — 2011/5/22 日曜日 @ 8:12:55