なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2011/4/2 土曜日   ツキノワグマ日記

岡山県のツキノワグマ事情


(山陽道には、こんな地名のトンネルもあった)

新聞やネットでの情報であるが、岡山県のツキノワグマ事情が面白い。
これまで、岡山県のツキノワグマの生息状況は10頭くらいだと考えられていた。
ところが、2010年には40頭ほどが捕獲されてしまったそうな。

全体の生息数の約1割が捕獲されたとすれば、400頭の生息数があることになる。
0.5割の捕獲率となれば、800頭ほどの生息数となる。
0.1割とすれば、4000頭。
さて、この数字のどれをあてはめるかであるが、オイラの観察経験値からいけば、捕獲率1割なんて数字は考えられないことである。

そんなこともあって、岡山県をはじめ西日本方面の自然環境が気になっていた。
とにかく、自分自身の確かな視線で自然環境を見ておく必要があった。
そんな矢先、四国、九州へ講演や獣害対策で出かける機会があったので、車で岡山県にも立ち寄ってみた。

まず、山陽道を倉敷まで走って四国へ入った。
そのあと、九州から中国道を経て帰ってきた。
帰路は、美作市で高速を降り一泊しながら周辺の山地をチェックしてみた。
オイラの直感力では、これまでの予想をはるかに超えるツキノワグマ個体が生息するであろうということである。
しかも、岡山県のどこを走ってもコナラなどの「ドングリ」林ばかりである。
それも、20~40年生と若くて、登り調子にある樹勢だった。

それなのに、生息数がこれまで10頭と予測されてきたことは、目の前に広がる自然環境を複眼的に発想できてないところに問題がある、と思った。
山容、樹種、樹齢、密度…。
加えて、ツキノワグマの生態習性…。
とにかく、自然界は想定外で物事を見て判断しなければならない世界なのである。
まあ、ハッキリ言って、足元の自然環境をきちんと見て判断できる人材が、岡山県にはいなかったのであろう。


とにかく、見事なドングリ林ばかりが目につく岡山県。


吉備SAからも、見渡す限りのドングリ林が遠景できる。


美作市だったが、矢印のところに「クマ棚」がかなり見られた。
木に登らないツキノワグマのほうが圧倒的に多いから、このようなクマ棚は個体予測にかなりの参考となる。


兵庫県境に近いこの集落にも、かなりの「クマ棚」。
しかも、照葉樹にクマ棚が見られたのは特筆だった。


人家のすぐ脇にもクマ棚はあるが、はたして地域住民は気づいているのだろうか?

(from/ gaku )

コメント&トラックバック

7 Comments

  1. 中国山脈の兵庫県に近い付近の冬山を鳥の観察で行くのですがツキノワグマのトラッキングは沢山あります。
    仕事も山仕事がメインなので何度か目撃もしました。

    が一体どれだけの頭数がいるのかもわからなかったので今回は面白い記事でした。
    美作市のクマ棚とおっしゃってる旧勝田町だと写真からなんとなくわかるのですが、勝田町ではかなりの頭数いると思います。
    仕事場がこの辺なので罠猟師の罠にも何度か今年かかったみたいです。
    鹿の遺体放置なども熊の個体数増加と里山付近までくるような要素にもなりそうだなと思ってます。

    PS 
    講演でいわれてた揖保川のインターチャンチェンジからもクマ棚を確認でした。

    Comment by 春名 — 2011/4/4 月曜日 @ 18:52:05

  2. 岡山県のツキノワグマの生息数が10数頭…
    この数字には以前から疑問に思ってましたが 隣接する広島県在住の有名な研究者さんは どう感じてるんでしょうかね。僕の住んでる大阪府の能勢町でも いつか目撃されると思います。隣接する兵庫県の篠山 京都の亀岡で目撃されてるんですから。

    大阪府北部でツキノワグマ!

    あぁ〜 痕跡みつけたぁ〜い(^ヘ^)v

    Comment by 下別府勇次 — 2011/4/4 月曜日 @ 19:14:49

  3.  私の住んでいる兵庫県の話ですけど【兵庫県森林動物研究センター】が2月27日のシンポジュウムでの資料で熊の生息数を500~800頭と推測しています。
    http://www.wmi-hyogo.jp/simpo/simpo_abst.pdf

     瀬戸内海から日本海まで南北に県域が広がる兵庫県と中国山地で鳥取県と分断されている岡山県とでは分布条件が異なる事は承知していますが、野生生物には全く関係の無い西播磨地域にある両県の県境が生息地域の境目になるとは考えにくいですね。 

     それよりシンポジュウム資料に掲載されている自然増加数と個体数の推測と銘打たれたグラフ…中国の防衛費以上の右肩上がりを示しています。 2001年付近では最大400頭だった推測数が2010年では最大1600頭…この10年で急激に増加しているのか、それとも今までの数値が何の意味も持たない数字だったのか? 私の興味はそちらにあります。  

    Comment by ヨンケイ — 2011/4/6 水曜日 @ 17:46:36

  4. ツイートしたから重複するけど、いるんですね。たくさん。
    大原、東粟倉の辺りは昔から、防災無線で「xxに熊が歩いています」と放送があります。大原の某ゴルフ場では夏になるとしょっちゅう熊が通るので、プレーが中止になるそうです。友人宅がその辺りですが、春から冬の入り口まで、ほぼ毎日のことだからと気にしてない様子。

    勝田町へ仕事に行くと父は道路脇で休憩するそうですが、目の前を熊の親子が道路を横断していったのを3,4回は見たと言っていました。岡山の熊は人に馴れすぎのような気がします。

    養蜂が盛んな越畑(こしはた)にもいます。巣箱をひっくり返して食べてしまう被害が多いんです。熊の数も多いかもしれませんね。

    Comment by kana — 2011/4/7 木曜日 @ 23:19:59

  5. 中国地方の県境では頻繁に目撃されてますね。
    たまに耳にするんですが噂では放獣せず食べてるみたいです。

    それとgakuさんがテレビや本で紹介してた杉の樹皮剥ぎを行い洞作りの仮説をたててたのを観た後仕事場で同じような痕跡を見つけれました。
    形成層以外に爪で深い傷を一本つけてたので他の鹿や猪が行う皮剥とは少し様子が違ってました。
    感覚ですが一応罠猟師なのでなんとなく違いがありました。

    実際の行動はみれませんがここで公開された事を復習してるだけでも結構色々と熊の行動が観れます。

    Comment by 春名 — 2011/4/10 日曜日 @ 19:33:10

  6. ■下別府勇次 さん
    能勢町あたり、しっかり探してみましょう。
    たぶん、痕跡はあると思いますよ。

    ■ヨンケイ さん
    >2001年付近では最大400頭だった推測数が2010年では最大1600頭…この10年で急激に増加しているのか、それとも今までの数値が何の意味も持たない数字だったのか? 私の興味はそちらにあります。 

    面白いですね。
    時代と共に「御用学者」さんも言動が変わってきますから、そういったのも新聞スクラップしておくとオモシロイ、ですよ。

    ■春名 さん
    >形成層以外に爪で深い傷を一本つけてたので…

    ほんとうに、「爪」だったのかを詰めて観察してみてください。
    「クマは爪をとても大切にする動物である」ということを、当ブログでもどこかで示してきているハズですが、生きた樹木の形成層以外の硬いところに「爪」はきわめて疑問です。
    「牙」ならわかります、が。

    ところで、
    貴方は3月27日に、「ヨタカ」の件で質疑応答をされてきた方ですか?

    ■kana さん
    >友人宅がその辺りですが、春から冬の入り口まで、ほぼ毎日のことだからと気にしてない様子。

    まだまだ、周辺にはたくさんのクマ出没がボクには観察できました。
    町名は忘れましたが、「大原小中学校」の付近にもどっさりでした。
    岡山、そうとうクマの密度がありそうですね。

    Comment by gaku — 2011/4/13 水曜日 @ 10:39:23

  7. 貴方は3月27日に、「ヨタカ」の件で質疑応答をされてきた方ですか?

    そうです。 
    一度お話をどうしても聞いてみたく参加させていただきました。
    野生動物を観察する事は自分の仕事にも深く影響があり色々と勉強させてもらってます。
    皆伐更新後では毎年色々な場所でヨタカが観察できます。
    飛来してきて間もない時は昼でも縄張りの主張なのか鳴くので驚きました。
    4年程前に大型の台風がきてかなり広い面積の人工林が被害にあいましたがおかげでかなりの面積の山が今林分成立段階にあります。

    ヨタカに限らず野生動物にとってもかなりの変化があったんではないかとブログをみて思っています。
     
    傷跡が牙なのか爪跡なのかまで見極める事がまだ経験と洞察力がなかったです。 すいません観察不足ですね。 軽はずみに爪だと言い切ってしまった事が恥ずかしいです。

    Comment by 春名 — 2011/4/15 金曜日 @ 15:15:17

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