なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2007/1/9 火曜日   調査

『2−3年後にツキノワグマは絶滅する?』 その6

山中の密猟檻

2006年、全国で5000頭ものツキノワグマが捕獲され殺されたのも、すでに農民の反乱と思えばいいだろう。
この5000頭という数字は、檻を仕掛けられ、実際にツキノワグマが捕獲された事実でもあるからだ。
研究者や専門家はツキノワグマ出没地域の住民にとって何もしてくれないし頼りにはならないということが、わかった。
「お仕置き放獣」にも、効果がないこともわかった。

NPO法人のツキノワグマ保護団体が「電気柵」をすすめるが、その電気柵を導入してみれば、配下にあるNPOだったりして、工事もずさんで高額支払いを求められたにもかかわらずその効果もなかった。
保護団体や愛護派は、口は出してくるがクマ対策には何のメリットもなく迷惑なだけの存在である。
こうなれば、地域住民は自衛のために個人努力で捕獲檻を設置して、自分たちで野生動物を殺さざるをえない。
それが2006年の行動であって、全国で5000頭余ものツキノワグマが捕獲されたのである。

これを、住民の反乱といって何にたとえればいいのだろうか?
こうした住民感情を市町村長はコントロールすることもできないから、「有害鳥獣駆除」申請が出されてくれば、許可を下さざるをえない。
イノシシ檻にこうしてツキノワグマが錯誤捕獲されても、保護行政の指導には従いにくいものであるから、捕殺という結果になっていくのである。

現場

しかも、全国で5000頭余というツキノワグマ捕獲公式数字ではあるが、この裏には、密殺というオプションもあることに気づくべきであろう。
密殺という事情が事情だけに、この数は絶対に表にでてこない数字である。
それも、どのように罠を仕掛け、餌は何を使い、捕獲できたクマを猟銃を使わないで確実に殺す技術確立までできているのだから、これは研究者や専門家、保護派よりはるかに生態学に精通した「技術」であるとボクは思っている。

ツキノワグマのこうした密殺に拍車をかけるのも、住民がいちばん知りたがっている「クマの数がどのくらいいて、保護と間引きをどこまですればいいか」という大切な答えを出さない無責任な研究者や保護団体、愛護派たちの行動が、クマ絶滅に加担していることに早く気づくべきであろう。

クマの噛み跡樹木

加えて、2007年度からは、ツキノワグマの出没報道にも飽きた報道関係者はよほど大きな事故などが発生しないかぎり無視をしてくるにちがいない。
こうした動きが密殺にはますます有利に働くから、基礎調査をしようと思うころにはツキノワグマが激減している可能性も無きにしもあらず、である。
今後は調査したくてもできない状況になってしまうから、ツキノワグマに関心のある人は、いま行動を起こさなければならないのである。
その勝負が、ここ2−3年だとボクは思っている。

写真上:ある山中にひっそりとしかし大胆に捕獲檻が仕掛けられていた。
だが、この檻には設置者の氏名や連絡先も明示されてない。違法を承知でやっているからである。

写真中:1本の木を中心に、地面の表情が変わっていた。
ここで何が行われたかを分かる人は、少ないだろう。

写真下:山中で樹木の傷んでいるのが見えた。尋常でないこの傷み方をみて、その理由を瞬時に理解できる人はどれほどいるだろうか。

(from/ gaku )

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4 Comments

  1. 先日 林業関係の友人から見せてもらった写真は 彼の管理する山で猪がくくり罠にかかり その不自由な身体で逃げようとして大穴を掘って 息も絶え絶えになっている物でした その罠は許可を取ったものではありましたが その現場の悲惨さは 強烈な物でした
    それに近い現場ではと想像します

    Comment by kaba — 2007/1/9 火曜日 @ 18:07:03

  2. 統計が事実とは異なることを、私は埼玉県のヤマドリ猟について、猟友会と共同で数百人のハンターに直接アンケートをとって調べたことがあります(1992-1994年度)。統計が、水増しになっている可能性も、ときにはあります。

    ここで指摘されていること も、また考慮に値します。密猟で絶滅するというのはやや現在のハンター(シカの制御については、ハンターのほうの絶滅が心配されている)の実力を過大評価かなあと思いますが、手近なところでたくさん撮影できる状況は、長続きしない(させない)ということにはなるかもしれません。それは、ある意味で、よいことだと、私は思います。

    Comment by 石田健 — 2007/1/10 水曜日 @ 1:44:54

  3. >現在のハンター(シカの制御については、ハンターのほうの絶滅が心配されている)の実力を過大評価かなあと思いますが、

    シカに関しては肉の歩留まりが悪く、ハンターにとっても真剣になれないところがあります。
    1頭につき5000円とかの報奨金でもつけば、ハンターも真剣になって撃つかもしれませんよ。
    伊那谷では、撃ち殺しても背ロースだけ取ってあとは現場に放置という状況です。
    これが、ツキノワグマ、キツネ、イヌワシ、クマタカの餌にもなっていますから、まあ、ハンターにゲームで遊んでもらうのも愛護派にはヨシ、かなぁと思います。
    (こう書くと猛禽類の「鉛中毒がどうの…」とか、すぐにいわれそうですが、現実なのですから。)

    Comment by gaku — 2007/1/13 土曜日 @ 18:52:00

  4. たまの不規則コメントですみません。

    学生のとき、帯広での学会の懇親会で
    ちょうど「若いシカが交通事故に遭って」
    野外ジンギスカンの焼肉として出てきました。
    シカ肉は、あっという間になくなりました。

    どうせたべるのなら、おいしいときにというのもあるでしょう。それなら、高く売れるかもしれません。
    関西のイノシシは市場があるので、捕獲もあるていどスムースということです。それでも、人里への出没は止まらないようですが。
    イノシシは、鍋でもなんでもおいしいですよね。

    Comment by 石田健 — 2007/1/23 火曜日 @ 15:50:07

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