なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2007/1/1 月曜日   調査

『2−3年後にツキノワグマは絶滅する?』 その3 

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ここで注目すべきは、

2006年には全国で5000頭ものツキノワグマが実際に捕獲されたという事実である。

この捕獲は、銃というより、ほとんどが「檻」によるものである。

檻は、イノシシやニホンザルを捕獲するためのもの。

熊専用にドラムカンで作ったもの。

さらには、くくり罠…、である。

これらのどれにも、ツキノワグマが実際にかかって5000頭なのである。

ボクは長野県伊那谷で、

2006年の8月から10月までに、一つの檻で11頭のツキノワグマが捕獲された現場を知っている。

また、9haの範囲でドラムカン檻、イノシシ檻、くくり罠を併用して18頭のツキノワグマ捕獲現場も見ている。

これ以外にも、同じ檻で2−3頭の複数捕獲現場もいくつか見てきた。

こうした事実から推しても、ツキノワグマは檻を警戒せずに簡単に捕獲されてしまう習性のあることがわかったし、それだけ数も多いことも知った。

このようにツキノワグマを実際に捕獲できるということは、狩猟者のほうが生態学者や専門家といわれる人たちより技術をもっているといえるのではないか。

どこに檻を仕掛けて、餌は何を使い、確実に捕獲してしまう。

農業者には獣害に困り果てて自ら狩猟免許をとり、イノシシ檻も自前で特注して捕獲を実践している人が少なからずいる。

それなりに野生動物のことを調べ、知り、捕まえる努力をしているのだが、そこにツキノワグマも「錯誤捕獲」というかたちで捕まってしまうのだった。

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このような「檻」や「罠」は、

『無人自動撮影カメラ』とまったく同じだとボクはかねてから主張している。

檻をカメラに置き換えればいいだけのことであって、ツキノワグマの生息数を探るにはたいへん有効な手段だからである。

全国にツキノワグマは15000頭前後しかいないのだから絶滅してしまうと、まるで「うわごと」のように何もしないで言いつづけている研究者や専門家、保護団体や愛護派は、資金を出し合って5000台ほどの無人カメラを用意して2−3年も設置しつづければすぐに答えがでてしまうのではないか。

1台のカメラに3個体のツキノワグマが撮影されれば、それだけで15000頭。

10個体が撮影されれば5万頭のツキノワグマがはじき出されることになるからである。

ちなみに、2006年度の5月-12月までに、ボクは中央アルプス山麓にたった1台のデジタルカメラを設置してみたが、そのカメラには、20個体以上のツキノワグマが撮影されている。

これは、ボクが自発的に設置したカメラであって、どこにも依頼されたわけではない。

その理由は、前年の2005年に今回のカメラの近くに何気にデジタルカメラを設置してみたら、予想を超えるツキノワグマが次々に記録されたからである。

こうした事実を発見して、

『これはいったいどういうことなのか?

 ツキノワグマは痕跡を見せないままこんなにもひっそりと多数が行動していたのか…』

そういった単純な疑問から、これは自分自身のためにも調べてみなければならないと思ったからである。

以前にも書いたが、

「けもの道の四季」の撮影(1982−1984年)では同地域に3年間にわたって5台の無人カメラを設置したが、そこに写ったツキノワグマはたったの1枚だけ。

それなのに、ここ数年間はどこに無人カメラを設置してもツキノワグマが簡単に写るのである。

これはある意味では事件であって、ボクとしては早急に調べる必要があると思ったからである。

このため、これまでの経験から無人カメラも同一地点に数年間にわたって設置することができるように、撮影の要であるストロボも100万円をかけてメーカーに特注して高性能なものを製作した。

こうして身銭を切ってはじめてツキノワグマのことを語れると思うから、ボクは実践しているだけなのである。

金は使わない、カメラ技術もない、調査する発想力も月並みで貧困、だけど「熊を殺すな」と、自らの汗をかかずにうわごとだけを発していても世間を納得させられないと思ったからだ。

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写真上:この檻はサル対策のものだったが、2006年度は11頭のツキノワグマが捕獲された。

写真中:これはイノシシ対策の檻だが、2006年度だけで6頭のツキノワグマが捕獲され、ドラムカン檻とくくり罠を併用して300平方メートルの範囲で都合18頭が捕まった。

写真下:この檻では、設置して12時間後に100kgのクマが捕獲された。

(from/ gaku )

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2 件のコメント »

  1. そんなに無造作においてあるような檻に捕らわれるんですね。びっくりしますね。
    僕は緑資源機構の生態調査の現場を見ました。動体センサーのついたカメラがありましたが、いずれも林道の脇に無造作においてあるだけでしたので、果たしてクマの撮影などできるのだろうかと疑問でした。しかも、それらは1週間余りで調査終了です。恐らく、その短い期間に撮影された動物達のデータから生息域や生態等が類推され、調査結果となるのでしょうが、僕にはそれが実態に即しているとは到底思えませんでした。
    何でもそうですが、データは一朝一夕に検証できるものではないと思います。観測点や検証方法が異なるデータでは、さらに混乱するばかりです。
    でも、一つ確実なデータがあるとすれば、それは捕殺のデータじゃないでしょうか。
    それさえも全ての捕殺値とは言えないかもしれませんが、近似値であることは違いないと思います。
    そのデータから予測を立てる方が、よっぽど信憑性が高いと思います。
    僕は、この状況を非常に残念に思っています。人間と野生動物達との不幸な関係を改善するために、山を復活することのお手伝いをしたいと思っています。個体数の管理は森がやることであり、人間がやるべき事ではないと思います。

    コメント by poi — 2007/1/2 火曜日 @ 23:06:48

  2. 捕殺からの予測といっても、「ある式に、ある条件のもとで、ある変数を当てはめて出す」だけのことで、このような条件等が現在のツキノワグマの生息実態にそぐわなければただの数字遊びだと思いますよ。客観的数値は出すことができますが、それが正確かどうかはまた別問題では?宮崎氏の行っていることは、このような予測の基礎となるクマの生息実態を知るために重要なことだと思います。そもそも人がオリ等で捕獲するよりも自動撮影した方がより精度が高いと思います(性の区別、年齢等の問題はあると思いますが)。

    コメント by 和武! — 2007/1/6 土曜日 @ 19:06:01

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