熊は「野生」との闘いの繰り返し
ツキノワグマが死ぬと、1−2日でダニがわらわらと這いだしてくる。
その数は数百匹どころか、数千匹ものダニたちだ。
そのくらい、ツキノワグマは全身にダニを宿しているのである。
ダニは毛根付近の皮膚にもぐっていたものが、体温低下で主人の死を知ると、一斉に逃げ出すからだ。
薄情といってしまえばそれまでだが、ダニにとっては死んでしまった宿主にはもう用がないからである。
とにかく、そんなダニの大群を目の当たりにすると、自然界の奥深さを感じることができる。
ダニは、ツキノワグマだけについているのではない。
野生動物全般に、ダニはつきものだからである。
ツキノワグマやイノシシなどの大型動物には、とくにたくさんのダニがみられるのはダニを宿す皮膚面積が広いからなのであろう。
こうしてたくさんのダニを宿しているということは、それだけ血を吸われているわけだが、これらのダニを動物たちは自らの力で落とすことはできない。ダニは動物たちが嫌がる臭いで武装しているから、どんなにたくさんのダニが全身に入り込んできても、宿主はどうすることもできないからである。
そのダニの悪臭がどんなものかを人間の鼻で知るには、部屋のなかで生きたダニをライターなどで焼いてみるがいい。
とにかく、悪寒のするもうれつな臭いが部屋中に充満して、思わず外へ飛び出してしまうからである。
生きたダニを焼けばその臭いがどんなものなのかが人間にもやっとわかるが、これを野生動物たちは歯で一度はナマのままのダニを噛み殺そうとやってみるものである。
その結果があまりにも凄惨なものだと学習するから、動物たちは以後ダニを落とそうとはしないのである。
(ニホンザルは、グルーミングの過程で仲間たちがダニを排除している可能性がある。
日本犬をつかって実験してみたが、生ダニを鼻先で潰すと、鼻汁と涎をだして苦しみ、のちに嘔吐までした。)
このように野生動物は、山野を歩いていれば体表にダニが無数につくことは普通のことなのである。
また、ツキノワグマの皮を剥いだ体内をみれば、筋肉には寄生虫がかなり入り込んでいることも発見できる。
爪楊枝より若干細く体調10−15cmの白い回虫状の寄生虫である。
まあ、ツキノワグマを刺身で食べる豪傑もいないではないが、野生動物の肉をナマで食べることは勧められない。
このような回虫は火を通せば大丈夫だが、野生動物のすべては体内外ともに、寄生虫などと共存していることを念頭に置かなければならないだろう。
それが自然界に生きる野生動物たちの姿、だからである。
写真上:ダニがどんどん這い出してきている。
写真中:イノシシのダニ。熊も猪も同じ種類のダニである。
写真下:筋肉に潜む寄生虫(矢印)。胃袋にもうどんのような大型回虫がいる。




野宿すると沢山ダニが付いてきますが、回虫は今のところ大丈夫です。
コメント by クワ — 2006/12/18 月曜日 @ 22:00:45