中央アルプスに無人撮影ステーションをつくる
写真は、中央アルプス山脈である。
下界に広がる市街地は、伊那谷。
手前の山麓は、伊那山脈を経て南アルプスまで深い山並が続いている。
写真の黄緑の破線は中央自動車道路である。
㈰ は、ボクの無人カメラが監視している場所。
㈪㈫は、獣害対策としてサルの捕獲檻が設置されている。
㈬ は、IKさんがツキノワグマに襲われた場所。
㈭ は、KHさんがツキノワグマに襲われた場所。
これ以外にも、無人カメラの設置場所はあるし、イノシシなどの捕獲檻も随所にある。さらには、人がクマに襲われた場所もいくつかある。
ここで興味深いことは、㈰㈪㈫で、今年はツキノワグマの動きがおびただしく記録されたことである。
㈰には、すざまじいほどにツキノワグマの撮影が繰り返されたし、㈪㈫では何頭ものクマがサルの捕獲檻にかかった。
特に、㈪では中央アルプスの裏側で放獣されたツキノワグマの捕獲もあったし、40kmも離れた場所から移動してきて再捕獲されたクマもいた。
そして、㈰㈪㈫の共通点はどちらも伊那谷の底部を流れる天竜川へ注ぐ支流の入り口ということである。
これは、支流脇の「緑の回廊」をツキノワグマが積極的に移動していることが読みとれる。
ツキノワグマがサルやイノシシの捕獲檻に入ることを錯誤捕獲というが、本来目的ではない動物がこのように捕獲されることが面白い。
それは、「けもの道」を無人撮影カメラで追っているのとまったく同じ状況でもあるからだ。
撮影は時間をかければそれだけ密度も増してくるものであるが、捕獲檻も10年以上にわたって同じ場所に設置されているから、ある意味で定点観測として興味深い結果をみせてくれることになる。
こうしてみると、「捕獲檻」も動物の黙して語らない部分を雄弁に語ってくれるし、無人撮影と同じ意味合いをもたせることができる。
それは、まさにツキノワグマの動きが点と点で結ばれ、線となって見えてくるからだ。
ここまで見えてくると、今後10年以上にわたって各所に無人撮影ステーションをつくってツキノワグマの撮影をしながら動きを追うことに意味がでてくる。
個体識別も鼻紋で可能になってきたので、中央アルプス全体で一体どれくらいのツキノワグマが生息しているのかといった具体的な数値もでるだろう。
今冬は、そんなステーションと撮影装置づくりに明け暮れそうだ。


この写真を見てから、下のKHさんの記事を改めて読み返すと、ツキノワグマの、これまでの常識を超えた広範な行動が、本当に実感されます。
人間が、自分の都合で、ツキノワグマの行動性向を決め付けることの愚かしさが、この写真に写っていると思います。
コメント by 小坊主 — 2006/12/8 金曜日 @ 13:28:14