なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2010/9/15 水曜日   ツキノワグマ日記

ツキノワグマを更衣室へ連れ込む秘策…は

ツキノワグマがあちらこちらに出没しているニュースには、毎日事欠かない。
数日前の朝日新聞には宮城県の話題が載っていたけれど、宮城県自然保護課の発表ではツキノワグマが県内に650頭とはじきだされていた。
あまりにも少ないこの数字には、ビックリである。
どういうところからのデータ出典なのか、呆れてしまうので、コメントする気にもならない。

ツキノワグマは確実に増えているし、すざまじく数も多い。
そのことをオイラは立証したいので、「クマクール」で視覚言語化につとめている。
そして、連日連夜ツキノワグマのデータがおもしろいほど集まっている。

これは、つい先日の9月12日夜11時3分にやってきた新顔個体のメス熊。
顔などに、血痕のような汚れがある。
どうも、これは血痕ではなくて、ペンキないしは錆止めの塗料とみた。
どこで何をやってきたのか、こういうクマもときどきいるから、楽しい。

こうして、化粧をしてきたツキノワグマを見てしまうと、オイラはすぐに次なるアイデアがひらめく。
個体識別をより的確にするために、短期間でもいいからツキノワグマを染められないものか…、と。
そうするには、どのような装置が必要で可能となるのか、すぐに考えてしまう。
赤や黄色や水色にマーキングされたクマがいたら、これはこれでけっこう笑えるし実験をしてみてもいい、と真面目に考えている。
これも、野生のツキノワグマを手のひらの上で転がせられるから、アイデアも湧いてくるというものだ。

ツキノワグマは、自然界では忍者のように活動している。
しかし、少しでもツキノワグマのことを知りたいという好奇心と探求心から、クマを更衣室へ連れ込んでもいいではないか、とオイラは考える。
実際にはたくさんのツキノワグマがいるのに、「クマは少ないんだぞ」と人間社会を翻弄しているのなら、こちらもあらゆる知恵で対処して遊んでしまいたいからだ。

(from/ gaku )

コメント&トラックバック

9 Comments

  1. ペンキの付いた顔も含めて表情がおもしろいです。

    ヒグマの中にはガソリン、グリース、オイル類の好きなのがいるそうです。

    山の工事現場で使っている大型の発電機の上に寝ていたり、蛇腹のグリース容器をイタズラしたり、笹刈りに使う刈り払い機、その燃料のガソリンなどを山に置いてくるとイタズラをされることが有るそうです。

    ツキノワグマにも同じ様なのがいるんですかね(笑

    Comment by 北の狩人 — 2010/9/16 木曜日 @ 9:30:24

  2. そうか、あれは更衣室だったんですね。

    せめて放獣するときに耳に付けるタグを、もっと種類を増やして、
    ぱっと見ただけで個別識別ができるようにすればいいのに。
    と、思っているんですけど。

    Comment by あーる — 2010/9/16 木曜日 @ 9:37:00

  3. この前 仕事場の近くの側溝の中にアナグマらしき動物がいました。
    たぶん 誰も気付かなかったと思いますが・・・
    うちの近くの住宅地でさえ タヌキ・ハクビシンなどの野生動物が入り込んでいるのを知らない人がほとんどで
    ツキノワグマが住む里山や山間部ではきっと予想以上のツキノワグマが潜んでいるのでしょうね。ツキノワグマにペインティング出来れば固体識別がしやすそうですが カラフルな熊がたくさん現れそうですね。

    Comment by しらとり — 2010/9/16 木曜日 @ 18:46:31

  4. 宮崎さんの本とブログ全て読みました。
    僕の頭の中 熊のことでいっぱいになりました。
    痕跡を見つけることからスタートしてみます!

    Comment by 下別府勇次 — 2010/9/16 木曜日 @ 23:33:44

  5. ■北の狩人 さん
    >ツキノワグマにも同じ様なのがいるんですかね(笑

    北海道で、ヒグマが緑のペンキを顔につけて歩いているのをボクも見たことあります。
    ツキノワグマも、かなり好奇心旺盛ですから、彼らも何やっているかわかりません。
    もっと、いろいろ調べていきたいものです。

    ■あーる さん
    >ぱっと見ただけで個別識別ができるようにすればいいのに。

    放獣するには、それがイチバン必要ですね。
    体の側面に大きく「焼き印」をしてしまう、とか。
    最近は、錯誤捕獲に関してはタグもつけずに放獣していますので、何回捕まったかもわかりませんし、そのつど放獣すれば「凶暴」化訓練をやっているようなものです。
    長野県の自然保護課は、もっと多角的にものを考えて判断しなければいけません。

    ■しらとり さん
    >ツキノワグマが住む里山や山間部ではきっと予想以上のツキノワグマが潜んでいるのでしょうね。

    ものすごく数が多いと思います。
    「クマクール」では、こちらの予測をはるかにうわまわり、かなり多くいることが分かってきています。

    ■下別府勇次 さん
    >痕跡を見つけることからスタートしてみます!

    「クマ棚」だけが痕跡ではありませんので、地道にたくさんの体験をしていくことが大切です。
    少しでも分かるようになると、ほんとうに、熊のことが見えてきますからぜひ精進してください。
    このブログでも、痕跡図鑑をそのうちにやりますから。

    Comment by gaku — 2010/9/17 金曜日 @ 14:50:32

  6.  今朝もTBSテレビで「ツキノワグマが里に出てくるのは、ナラ枯れで山のドングリがないから」と専門家と称する熊何とか協会のおばさんがしゃべっていました。
     「となりのツキノワグマ」をgakuさんの写真入りで紹介した地元新聞社も、事故が起きると「ドングリがないから」という某団体のコメントしか掲載しません。
     マスコミもお役人も完全にツキノワグマに翻弄されていますね。

    Comment by 久保の家 — 2010/9/20 月曜日 @ 21:49:31

  7. はじめまして。かめと申します。

    今年の8月に高山と乗鞍へ旅行をし、2泊3日の旅行中に、3回もツキノワグマと接近遭遇してしまい、ツキノワグマに興味を持ち、宮崎さんの本を何冊か読みました。

    特に、偕成社の「ツキノワグマ」が大好きです。
    きちんと犬の役割を果たす、雑種犬の「マック」に感動しました。

    我々は、犬を連れて旅行していたのです。何だか判らないほど混ざっている雑種です(一番似ているのはオーストラリアのディンゴです)。
    クマに遭遇した時に、彼は異常な興奮状態になり、クマの方へ向かって行こうとして大変でした。
    3回とも(一回などは2,3メートルの距離だったのですが)、あちらが逃げてくれてラッキーだったと思っていたのですが、もしかしたら、この犬がいたおかげなのかな・・・と、うちの雑種犬を見直しています。

    そしてもう一つ、気に入っている点は、ゴールデンレトリバーの異常さに言及していただいている所です。
    先日、うちの犬はゴールデンに襲われて大怪我をしたので、個人的に、あの犬種は異常であると思い込んでいます。
    小さな雑種犬なんて襲っていないで、クマと戦いなさいよ!と言いたいのです。

    そういう個人的なことはさておき、犬の放し飼いをやめたことが野生動物による集落への侵入を増加させているというのは、目から鱗・・・でした。
    昔の方が、自然と人間社会との境界線が上手く引けていたのですね。
    現在のあり方は、どうにか考え直さないといけなのですね。

    Comment by かめ — 2010/9/20 月曜日 @ 23:25:28

  8. ■久保の家 さん
    そちらの山野のドングリやクリなどをしっかり観察してみてください。
    熊が食べる木とまったく無視する木があることに気づくことでしょう。
    ツキノワグマは、ほんとうに餌不足なら、クリなど多少不味くてもすべて食べ尽くすハズ、です。
    食事を選んでしているということは、それだけ山野に餌があるという証拠なのです。
    そんな足下の自然現象に、長野県の新聞記者が気づかないようでは、県民をまちがった活字で誘導していくことになりますから新聞購読にも吟味をしなければなりませんね。

    ■かめ さん
    3日間で3回もの熊とのニアミスには、さぞビックリされたことでしょう。
    そのくらい、ツキノワグマは増えておりますので、どこにでもいると思っていいことなのです。

    ボクも柴犬を連れて山野によくでかけますが、犬の観察をしっかりしていると、熊がいるとその態度ですぐにわかります。
    柴犬は、縄文時代から日本人とともに生活してきた犬なので、熊など日本古来からいる野生動物の出す超音波まで聞き分けられるDNAが備わっているとボクは考えています。
    この犬との関係で、最近またおもしろい実話がありますので、近いうちにこのブログでも紹介してみたいと思っています。

    Comment by gaku — 2010/9/21 火曜日 @ 13:50:11

  9. 犬とクマとの関係の話、ぜひ、読みたいです。楽しみにしております。

    Comment by かめ — 2010/9/22 水曜日 @ 13:43:36

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