なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2010/5/31 月曜日   ツキノワグマ日記

カイセンダニに熊が感染すれば意外に弱いかも…?

ツキノワグマのメインストリートとなる「けもの道」に、カイセンダニに罹患したキツネがやってきた。
キツネは口に、20cmほどのイワナかヤマメをくわえていた。

2010年5月18日、夜10時32分。
現場から200mほどのところには、渓流がある。
時間帯にして、渓流魚たちの動作が鈍っている時間だから、キツネも渓流の浅瀬でイワナを捕まえている可能性がある。
それをお土産に、巣穴で待つ子供たちのところへ帰る途中、なのだろうか?

ところが、このキツネをよくみれば、かなりひどいカイセンダニにやられている。
キツネ特有の自慢のふさふさ尻尾も、毛が抜けてしまって貧相だ。
顔から顎、首、下腹部も、かなり症状が進んでいる。
ここまで進行すれば、末期的症状なので、キツネの寿命はそんなに長くはないと思われる。
なぜならば、これまでキツネやタヌキの疥癬症をたくさん目撃してきているが、ここまでいけばほとんどが生き残っていない、からだ。
たぶん、この個体も子育て中であったとしても、育児半ばにして生命が絶える可能性大だろう。
可哀そうだけれど、野生の世界には福祉も病院もないのだから仕方がない。
これでいいのだ、これが野生というもので、自然界が生命のコントロールをつづけてくれるからである。

そして、このキツネが歩いた場所をツキノワグマもやってきた。
キツネからカイセンダニが地上に落ちていれば、よく地べたりあんをするクマだから、まちがいなく罹患する。
まだ、大規模に罹患したツキノワグマを見たことがないから、ツキノワグマはほんの少しの疥癬症でも弱って死んでしまうのかもしれない。
そんなことを視野にいれながらフィールド観察を地道に続けていくことも、自然界をそしてツキノワグマの実態を知ることになるような気がする。
そのための長期観察を行っている無人撮影ロボットカメラだから、こうした技術や身銭もきらずに、ツキノワグマのことは語れないと思う。
これも、黙して語らない自然界のツキノワグマの実態のほんの一部を知って、そこから考えていきたいと思っているからである。

写真:疥癬症のキツネと同じ場所をこれまでツキノワグマが数十頭も通過していっている。

(from/ gaku )

コメント&トラックバック

10 件のコメント »

  1. >ツキノワグマはほんの少しの疥癬症でも弱って死んでしまうのかもしれない。

    ・・・そういう見方もあったかぁ。

    コメント by もっち — 2010/6/1 火曜日 @ 19:35:48

  2. 東京の下町にいる親戚がカイセンダニに寄生されました。
    どの様な経路かわかりませんが寝たきり老人の介護をしていて
    手の指の又から入り込んだようです。
    治療で治りましたがその後アレルギーに悩まされています。

    キツネから色々な動物へ移り人間にも寄生することでしょうね

    >野生の世界には福祉も病院もないのだから
     最後の最後までじっと見守るのが努めですね

    コメント by 北割 — 2010/6/1 火曜日 @ 22:32:28

  3. >北割さん
    疥癬の原因となるダニは種の特異性があります。人には人専門のダニがいて、シーツなどからもうつるので、老人ホームでは問題になっていました。

    犬猫の原因ダニも、犬猫のノミのように人にうつり一時的に症状が出ますが、定着・増殖などまではいかない事がほとんどです。私もちょっと発疹が出た事あります。
    参考まで。
    ttp://www.cpvma.com/eisei/kaisen.htm

    コメント by うりょ — 2010/6/2 水曜日 @ 16:34:36

  4. うりょさん ありがとうございます
    医者へ行ったらカイセンダニと診察を受けたと言うことでしたので
    てっきり同じ種類のものかと思いました。

    コメント by 北割 — 2010/6/2 水曜日 @ 18:01:41

  5. 親戚の者は痒いので相当掻いたので症状が酷くなったようです。

    コメント by 北割 — 2010/6/2 水曜日 @ 18:07:42

  6. この辺りでも疥癬と思われるタヌキを何度か見かけました。
    以前 乗蔵で起きた熊が人を襲った事件で
    射殺された熊の毛がかなり薄くなっているように見えたので
    ひょっとして疥癬かも?って思ったのを思い出しました。

    コメント by しらとり — 2010/6/2 水曜日 @ 19:09:10

  7. 実は、いま、疥癬にかかったツキノワグマを観察しています。
    やはり、地べたりあんをしますので、尻尾の付け根周辺がやられています。
    まだ、とても若いクマなんですが、今後どのように推移していくか楽しみにしているところです。

    疥癬のそんな写真もたくさんありますが、公開できない研究装置が写り込んでおりますので、発表はまだまだ先になると思います。
    しかし、確かにいえることは、ツキノワグマも確実に疥癬症になる、ということです。

    コメント by gaku — 2010/6/2 水曜日 @ 19:23:24

  8. クマが、疥癬になったら、体力の消耗以外に、何か、特別にまずい事があるでしょうか?
    それが無くて、体力の消耗だけだとしたら、クマも、相当悲惨な状態になるまで、生きているように思いますが、いかがでしょう?

    コメント by 小坊主 — 2010/6/5 土曜日 @ 13:31:35

  9. ■小坊主 さん

    >クマが、疥癬になったら、体力の消耗以外に、何か、特別にまずい事があるでしょうか?

    まだ、このことに関してはまったくわかりません。
    ただいえることは、悲惨な状況になっているツキノワグマを観察できてないこと、です。
    ハクビシンの疥癬症も観察してきましたが、はやりツキノワグマと同じく、悲惨な状況にならずにその個体の観察ができなくなりました。
    タヌキ、キツネは、かなり「悲惨」な状況になりますので、イヌ科動物は体力の消耗をはかりながら生命を落としていくと思います。
    したがって、イヌ科動物とハクビシン、ツキノワグマは体質的に違っている可能性があります。
    そして、疥癬に対して強いのか、弱いのか…、そこに重点をおいた観察が今後は必要になってくると思っていますので注意深く監視をつづけていくつもりです。

    コメント by gaku — 2010/6/6 日曜日 @ 6:49:08

  10. 不思議ですね。
    ハクビシンやツキノワグマは、果たして、疥癬に強いのか、弱いのか?
    観察できなくなるという事は、普通に考えれば、治癒しているか、死んでいるか、ですよね。さて、どちらなのか。。

    コメント by 小坊主 — 2010/6/6 日曜日 @ 10:16:20

このコメント欄の RSS フィード トラックバック URL

コメントをどうぞ

※初めてコメントする方は簡単に自己紹介をお願いします

お名前:

Email:

Website:

このブログへの訪問者