平成時代ツキノワグマの現実を知らない小娘の独り言
先日、伊那谷のある村で行われたツキノワグマの「学習放獣」の現場に立ち合わせてもらった。
村役場の職員や地元新聞記者、捕獲現場となった養魚場職員らと「○○ツキノワグマ研究会」の行う手順を見学させてもらったのである。
ドラムカン檻にかかったツキノワグマに吹き矢で麻酔を打ち眠り込んでいる状態で、体重をはかり性別を確認する。そのあと、耳にタグを打ち込み、歯を抜き、血液を抜き、体毛をむしりとる。
まあ、ここまでは研究用のサンプル確保には欠かせない作業であったから納得がいった。
ここで、作業を手伝わずに腕組みをしていた小娘がひとりいた。
そのときに発した言葉が、
小娘 『クマは道路などで移動できなくなって孤立してしまうから絶滅してしまうのです。』
これは、誰にいっているでなく、そこを見物している私たち全員に向かっていたようだった。
ここでボクは、
「どこかで使い古されたことのある発言だ。しかし、ここは信州の中央アルプス山麓である。信州は北アルプス、中央アルプス、南アルプスという巨大な山脈群が日本の屋根をなす山岳県だ。道路によってツキノワグマの移動が寸断されて孤立群となるハズがない。確かに、日本国内のある地域によっては道路や市街で孤立群となるツキノワグマがいるかもしれないが、それを全国標準として当てはめられてもこまる。
そんなことを言うこの娘は、信州育ちで信州暮らしなら、足元の信州の自然をまったく理解していないことだし、都会からボランティアでやってきているのなら、ツキノワグマと自然界のことをあまりにも画一的一面的でしか見ていない恥ずかしい発言…」だ、と思った。
こんなことを、一瞬のうちにボクの頭のなかでは駆け巡ったが、それに対してボクが代表で答えてあげた。
gaku 『あのねぇー ツキノワグマなんて高速道路を渡っています、よ。』
小娘 『っえ、えーー、クマが高速道路を渡るのですか…?
そんなことをすれば、車にひかれて危ないじゃあない、ですかぁー 』
gaku 『あんねぇー 、クマは橋の下などを渡っているのです、よぅ。』
小娘 『橋の下ぁー クマがそんなことするのですかぁー 』
キンキン声で耳の上からしゃべるタレント女がいるが、まさにそんな声での小娘に、それ以上の説明をする必要がないと思ったから以後ボクは無視をつづけた。
「○○ツキノワグマ研究会」のメンバーなら、もっとツキノワグマのことを知っていてもいいと思った。
これでは、あまりにもお粗末であり、そこに居並ぶ役場の職員など関係者からもレベルを疑われてしまうというものだ。
中央アルプス山麓のツキノワグマが、いま現在どのような行動をしているかは地元の人たちがちゃんと知っていることであり、
自然を語るにはどこまで自然を理解できているかといった「ベース」が必要であって、それを語る「レベル」も要求される。
これでは、お姉さん、あまりにもお粗末すぎます、ぜ。
ボクらに無視されたあとの彼女のダメ押しは、麻酔をくらってのびたツキノワグマの額を手のひらで撫でながら
『かわいいねぇー おお かわいい …』、だった。
そんなに可愛いのなら
「熊の子供でも産むがいい」
「ほっぺたの肉でも引掻いてもらえば少しは目が覚めるだろう…」
あとで、誰彼となくこんな言葉が漏れていた。
こうした会話のあと、眠っているクマを再びドラムカン檻に押し込むまでが「○○ツキノワグマ研究会」の仕事だった。
このあと、村役場の職員がトラックに載せて10kmほど離れた山へ放しにいったのである。
これが、ツキノワグマの「学習放獣」の一部始終だった。
はたして、ツキノワグマはいったい何を学習したのだろう、か?
そして、ここでいちばん得をしたのは、サンプル標本を入手した研究会そのものではないかと思った。
写真:麻酔をうたれて眠っているクマなら、小娘でも額を撫でることはできる。


たしかにかわいいです。下のカメラをのぞき込んでいる写真みても、ほんとかわいいですよね。
gakuさんも殺したくないって思ってます。
だったら、檻に入れないであげて、お仕置きしないであげて・・って思います。
たった10キロだか20キロの山奥が何になるんでしょうね。
ここまで凶暴にしてしまったのは・・・・・・・・・・・・誰・・・なんだろう。。。。
コメント by momonga — 2006/11/13 月曜日 @ 0:53:19
彼女はまさに、「風の谷のナウシカ」以降に派生した種ではないでしょうか?
コメント by P — 2006/11/13 月曜日 @ 11:38:23
こうやって見ると、このクマは体形がニンゲンっぽいんですね。
コメント by クワ — 2006/11/13 月曜日 @ 20:31:30
名前のないカキコミがありましたので、削除させていただきました。
今後も、内容に関係なく、このようなカキコミは削除させていただきます。
コメントするには、ルールを守ってください、ね。
コメント by gaku — 2006/11/14 火曜日 @ 12:16:54
そのお嬢さん、一つだけ正しいことをおっしゃいましたね。
高速道路を横断したら危ないです。
監視カメラに写っている例もあるし、交通事故も山梨県などで記録されてます。
相手が大きなツキノワグマだと運転者の方も危ないので、とりあえず、
みなさん、クマ横断注意 です。
コメント by 石田 健 — 2006/11/15 水曜日 @ 3:54:50
はじめまして
砂金堀りを趣味としている者ですが、熊と出会う確立が高いので、私のHPで紹介したいと思います。リンクさせていただけますか?
できるだけ、他の砂金堀り人にも熊の生態、危険性を見て欲しいのです。
コメント by え〜の — 2006/11/15 水曜日 @ 8:01:01
愛護をする立場の方たちにとって見れば守るべき生き物ですが、そこで生活し、共存を見出そうとしているものにとってはたとえてみれば、自分の畑の中に入ってきて凶暴化してしまっている熊は「通り魔」でしかありません。15日付の新聞にもどなたかが「注意していないほうが悪い」的かき方をなさっていましたが、人間社会で通り魔にあった人は注意していなかったからやられたのでしょうか?駆除する側も駆除は辛いはずです。考えてみるべき時が着ているのかもしれませんね。
コメント by ただぴょん — 2006/11/15 水曜日 @ 13:07:50
一人のお姉さんの言葉足らずの一言だけが捉えられて、大切な部分が抜けたやり取りが続いている気がしちゃうのは私だけ?
確かに勉強不足なお姉さんだったかも知れませんが、都会の人が自然豊かだと思っている信州で、クマと人との軋轢を少しでも解決するために手弁当で頑張っている人達がいるのは、いいことじゃないですか。
そもそも〇〇ツキノワグマ研究会って、HPを見れば単なる愛護団体ではなく「保護・管理」団体ですね。管理ということは、必要に応じて捕殺も行うということですよね。軽井沢のピッ〇〇も同じで、これまでに再犯クマは何頭も捕殺しているはずです。
サンプル標本にしたって、ただの標本ではなく、体毛等の分析でこのクマが何をどのくらい食べてきたかわかるらしいです。生かすか殺すかの判断にもなるようですよ。
それに、中信高原では個体数が減り繁殖の機会が失われているそうで、平成7年および平成14年に施行された長野県の「特定鳥獣保護管理計画(ツキノワグマ)」でも、「地域個体群の存続が懸念される」と明確に述べられているようですし…。
まあ、肩を持つわけじゃないけれど、お姉さんの発言だけで、クマが人里に出没する問題の根本に触れない議論ものもいかがなものかと…。
クマをはじめとする野生動物の問題、お互いもっと勉強しようではありませんか。
余談ですが、まっとうなハンターたちは、檻やドラム缶に入ったクマでなく、猟期に山で思う存分追い回して健全に(?)お命ちょうだいしたいと言っていますけどね。
(乱入失礼! 削除されないといいけれど…)
コメント by ハンターの妻 — 2006/11/16 木曜日 @ 14:03:56
この記事だけを読むと「一人のお姉さんの言葉足らずの一言だけが捉えられて」
とも思えるかもしれません。
しかし「ツキノワグマ事件簿」全体や宮崎さんの仕事なども
読んでいけば、各所で「クマが人里に出没する問題の根本」
に触れていますし、そもそもクマの個体数に関して前提が違っている
ことも明らかではないでしょうか。
コメント by masa — 2006/11/19 日曜日 @ 19:49:46
宮田養魚場の現場でお話した林です。○○ツキノワグマ研究会とは私どものことと思います。ブログなどを見る習慣がないので対応が遅れてしまいました。
宮田・駒ヶ根辺のクマについて議論する小さなゼミをもちます。学習放獣もテーマのひとつです。急なお知らせで恐縮ですが、宮崎さんにも、ご参加いただければ光栄です。
・・・ クマ研ゼミと忘年会のお知らせ ・・・
12月23日(土)15時から
☆くま研ゼミ☆
松本市市民活動サポートセンター フリースペース
コメント by 林秀剛 — 2006/12/20 水曜日 @ 12:09:18
2007年2月9日と10日にあったクマフォーラムで信州ツキノワグマ研究会の方に直接うかがったところ、
その小娘さん(宮崎さんからみれば?)は、40歳代の一般市民の方で、希望されて研究会の活動を見学に見えていた方だそうです。
いろいろな方がおられると思いますけれど、特に極端な動物愛護主義者というわけでは、私はないように思えます。研究会の活動方針に対してはいろいろな意見があると思いますが、学習放獣については、日本全国できちんとした結果評価のデータが蓄積されつつありますので、夏に出る予定のフォーラムの報告書をごらんください。
http://www.japanbear.org/
にいずれ、掲示されると思います。
コメント by 石田健 — 2007/2/12 月曜日 @ 10:13:32
momonga
さん
ぶろぐのまとめごくろうさま
学習放獣に関連した補足説明をすると
理想的には
個体追跡
問題のある場合には
追い払い
その次が
捕獲
できれば
学習放獣
効果がない場合の
捕殺
という手順を踏みます。
実際問題としては、地元の方の要望や緊急性についての判断によって
途中を省かざるを得ないのが現実です。
ただ撃つより、学習放獣を入れると数倍の手間ひまがかかり、実施されている方はみな寝食を削って、クマを殺したくない一心で手弁当で担当されているのが現実です。
2006年には、12月末の環境省の全国集計速報で、ツキノワグマは4785頭捕獲され、4287頭が捕殺されていますので、差し引き500頭ほどが学習放獣されたことになります。
かなり、市民権を得つつある、定着した手法となっているように思えます。
手法の改善は、もちろん今後も続くでしょう。
コメント by 石田健 — 2007/2/12 月曜日 @ 10:22:57
まぁ、多くの人は実際に身近な人や自分自身が被害に遭ったり危害を加えられたりして、やっと実感できるんでしょうね。
クマに襲われて顔の肉を半分むしり取られた気の毒な人を見たとき、何を思うでしょう。
現実は決して甘くありません。
私はハンターです。
自分のよく行くフィールドは南アルプスですが、熊の個体数は確実に増えているのを実感しています。
猟期中に捕殺されたクマの報告を求められていますが、面倒な書類提出があるために、正直に報告しているハンターは極僅かです。
ゆえに、県の調査と実際とはかけ離れた結果になることもあるでしょう。
罠にかかったクマは氷山の一角なのです。
檻で捕獲したその数字をもって全てをわかろうとしても、かなり無理があるでしょうね。
コメント by 土生 — 2007/2/12 月曜日 @ 22:29:28