ツキノワグマが庭先まできているのに…
伊那谷の林の一角に小さなオーガニックレストランがある。
そのレストランは、子供たちになるべくよい本を見せようと数百冊の絵本などを並べてもいる。
あるとき、ボクはこのレストランへ食事に出かけた。
窓辺のテーブルからは、手を伸ばせば木々の枝をつかまえることができた。
もちろん、それらの木々は林の奥まで続いていた。
主人は、ボクに何冊もの出版物があることを知っていたので、かなり親しげに話しかけてきた。
そして、いろんな会話のあとで、
「ここのレストラン脇にもクマがくるから、夜間などの外出はほんとうに注意してくださいね」、
とボクは言った。
すると主人は、
「そんなバカなぁー クマなんてこんな場所には来ない…」。
さも、いい加減なことをボクが言っているような目つきで、否定した。
こんな人にクマなど野生動物の話をこれ以上してもムダだと思ったから、ボクは話題をそらした。
しかし、このレストランから300mのところには、実際にはツキノワグマが何回もきている場所がある。
もちろん、通学路だって近くにあるし、ボクはツキノワグマの行動力を知っているから、認識を新たにしてほしくて言ったまでだ。
それなのに、子供にはよい絵本を、食生活はオーガニックを、と理想だけは高い。
同じ伊那谷という風光明媚で自然環境の豊かなところに生活していながら、こんなにも足元の自然環境を見ていないのか、とあきれてしまった。
自然は、アフリカの草原やアラスカ、カナダの森林帯にしかないと思っているレストランのご主人。
この意識ギャップこそが、ボクには事件だと思った。
いつから、日本人はこうまで自然を見れなくなってしまったのだろうか。
よい「絵本」だと思っている数百冊の蔵書そのものが、もはやここではムダなことだと思った。
たくさんの自然環境が足元にあるというのに、地域住人がここのレストランへやってきて親子で「絵本」を読んで表面面だけで満足していくのかと思うと末恐ろしさをも感じた。
ちなみに、ここには、ボクの本は一冊もなかった。
それで、いいのだが。

写真上から:
1)矢印のところまでツキノワグマは平気でやってきている。もちろん、ここは道路も人家もレストランも公園も、ある。この写真の中だけでも4万人強の人口があるが、誰一人として野生動物たちがどこを歩き回っているかなんて考えたことのある人間はまずいないだろう。
2)ふだん見慣れている風景でも、ちょっと雪が降れば、「けもの道」がくっきりと見えてくる。この道をツキノワグマも歩く。こうしたちょっとした視点から自然界を考え発想し、無人カメラが無理ならヘアートラップなどを仕掛けて探ってほしいものだが、田舎の人間とて現代社会では意識が退化家畜化されてしまっているから期待するのも無理だろう。
3)里のケヤキの元に遊びにきた子熊。100m先には通学路がある。
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私も以前は熊は森の深いところ(人間があまり入らないようなところ)にしかいないと思っていました。山菜を採りに行った人が森の奥深くまで入り込んでしまって襲われるのだろうと。
こちらでgakuさんの記事を読んだり、地元の放送で「○○付近で熊が目撃されました。ご注意下さい」なんて事があると(富士山の麓って事もありますが、ここ1~2年放送があります)、やはり身近に熊はいるのだと思うようになりました。
以前は平気で山の中に山菜採りに行っていたので、今になってビビッております。
コメント by ちゃかめ — 2010/3/7 日曜日 @ 3:07:20
せっかくレストランを経営しているのなら、猟友会とかにお友達を作って、鹿や熊料理を出せばいいのに。
もったいないこと。
コメント by あーる — 2010/3/9 火曜日 @ 12:36:12
もう 随分前に見たテレビで軽井沢の街中にツキノワグマが現れているのを見たことがあります。目的は残飯だったようです。このレストランや周辺地域の残飯(ゴミ)の管理など、気を付けないとすごく危険ですね。ひょっとすると深夜には街中に入り込んでいるかもしれませんね。
コメント by しらとり — 2010/3/9 火曜日 @ 17:17:14
無農薬とか有機農法とかその言葉の響きに惑わされているような気がします。確かに完璧にできればいいのかもしれません。プロ的発想になれば、そこにいかに生産性をあげるか考えなくてはなりません。農薬や化学肥料の量、時期を考えれば、問題はないように生産性をあげることが可能です。
今一番問題なのが、消費者の無知のほうだと思います。例えば、キュウリはブルームレスがはやりですが、これは、本来キュウリのからだを保護していた珪酸をまとわないようにしたもので、見栄えは良くなりますが、病害虫に弱くなり、当然、農薬散布回数も増えるわけです。こうした傾向は、あらゆることに見られる現代病なのかもしれません。
コメント by おいかわ飯店 — 2010/3/10 水曜日 @ 16:35:19
■ちゃかめ さん
そうです、日本の山野のどこにでもクマはいると思って対処したほうがいいでしょうね。
そのためにも、調査方法をきちんと確立することが必要だと思います。
■あーる さん
ジビエ料理もまたオーガニックですからね。
増えている野生山肉をどんどん、食べるべき、です。
■しらとり さん
軽井沢=ツキノワグマ=ゴミ=餌付け …
そう思われてしまうのも、テレビなど報道の悪い部分だけを一般に刷り込んでしまうよい例だと思います。
生ゴミだけにクマはくるものではありませんし、農業現場や畜産現場、園芸現場など、人間の活動現場のすべてが「餌付け」場所と考える時代になっております。
その部分を報道もキチンとやってくれればいい、のですが…。
■おいかわ飯店 さん
農薬や化学肥料も、ツキノワグマをはじめとする野生動物すべてにボクは健康管理のサプリメントになっていると考えています。
裏を返せば、人間活動そのものが野生動物たちには「ドラックストアー」なんです。
コメント by gaku — 2010/3/15 月曜日 @ 9:15:02
はじめまして。
東京郊外に住むタイラと申します。
数年前からたまの休みにオフロードバイクで近場(奥多摩や秩父など)の
林道を走ることを楽しみにしてきました。
一人で行動することがほとんどなので自然への警戒から
熊についてもネット検索してこちらにたどり着きまして、
日本の自然のもつリアリティの一端を宮崎先生の発信される
言葉と写真から突きつけられた感じです。
そういえば、
私の実家は埼玉県の南西にある飯能市というところです。
面積の7割を山林が占めますが、
駅周辺は市街地化していますし、
都内の池袋まで普通列車でも1時間弱、
レッドアローを使えば40分の距離ですので、
都内への通勤圏にあるベッドタウンとして宅地化が
進んできた町です。
都内に通勤しているサラリーマン層も多く住んでいて、
人口は8万を超えています。
その西武線飯能駅から車で十数分、西にいったところに
市立原市場小学校という公立小学校がありますが、
この敷地のすぐ近くに熊が出たという情報があります。
以前もこの近辺で目撃されたそうです。。
周囲は里山に囲まれてはいますが、県道に沿って、
住宅も商店もセブンイレブンも軒を連ねています。
こんな場所に複数回もツキノワグマが出るということに
驚きました。
しかも、出没したのが一月ということで、
普通なら冬眠している時期だと思うのですが、
油断できないものですね。
http://www.city.hanno.saitama.jp/kankyo/kuma.html
コメント by タイラ — 2010/3/26 金曜日 @ 1:28:56
■タイラさん、はじめまして。
飯能市には、その昔いちどキャンプに行ったことがあります。
さて、東京近郊でも、八王子あたりからの山並みを見れば、相当数のツキノワグマが生息していると思います。
ただ、それをきちんと見届けられていないだけ、かと?
ツキノワグマをはじめ、日本の野生動物に関してはこれまで言われてきたような「少ない」という考え方をいちどリセットしてから見直していく必要があるのではないかと思っています。
ちゃんと、探せば、けっこう生息している、探す技術がなかっただけ、というようなことがたくさんあるから、です。
バイクには、ボクも乗りますが、林道でツキノワグマとぶつからないように慎重にならなければいけないと、いつも思っています。
なので、バイクで林道をぶっ飛ばすなんてこと、もうできなくなりました。
そのくらい、どこにでもクマはいるものだと思っているからです。
決して、油断してはなりません。
どうぞ、乗られるときには慎重に。
コメント by gaku — 2010/3/30 火曜日 @ 19:51:23
ご丁寧な返信を有難うございます。
東京でも、2006年に高尾山の登山道で
昼間に熊が目撃されていますし、
八王子の下恩方の住宅地の近くで
熊が出没したという報道もあったと記憶しています。
日の出町でも町役場の近くで目撃されています。
ですので、
宮崎先生のご指摘のとおり、東京でも山間部には相当数の
ツキノワグマが生息していて、
時に住宅地の近くまで出てくることがあるという
ことなのでしょう。
林道についてですけど、
2006年の5月に、奥多摩の日原林道をバイクで
走行中のライダーがツキノワグマに襲われて怪我をした
という事例があるそうです。
林道脇でクマが鹿を食べていたところで、
遭遇してしまい、ライダーに襲い掛かってきたそうです。
襲われたのが走行中だったということで、
ほんとうに油断できないものですね。
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-okutama/sangaku/detail/n_2006.html#h180512
ところで一点お聞きしたいことが御座います。
熊よけスプレーというものが販売されていますが、
あれは効果があるものなのでしょうか?
コメント by タイラ — 2010/4/2 金曜日 @ 15:11:35
■タイラ さん
こちらでも、新聞配達のバイクにクマが襲いかかったというニュースもありました。
1頭の目撃の裏には、100頭のクマが潜んでいると思っていいでしょう。
そのくらい、世間では自然界を甘く見ていて、フィールドもやれない人たちが大した調査力もない著者の書物などで得た自分だけの知識範囲内でモノ申しているから、「クマはいない、少ない…」ということにしてしまっているとボクは思ってみています。
なので、自分の確かな視線を育てることがいまの時代にはとても大切なことではないか、と考えてボクは行動しています。
ところで、熊よけスプレーですが、使い方次第では効果も期待できると思います。
それには、2m以内まで熊をしっかり近づけてから、的確に対応することだと思っています。
ボクも、これまで3本使ってきましたが、まだ、熊との格闘はおかげさまでやってません。
いつでも、格闘できるように心の準備はしていますが、その前にニアミスを侵さない努力のほうを大切にしています。
フィールドでは、細心の注意と勘をはたらかせることがイチバンだから、です。
コメント by gaku — 2010/4/4 日曜日 @ 7:58:43
ご教示を有難うございました。
とても参考になりました。
それと、
まだ宮崎先生の写真集を手にしていませんでした。
週末に図書館に行って借りてきたいと思います。
コメント by タイラ — 2010/4/7 水曜日 @ 2:26:42
まず、山に餌となる木や山菜が少ない
それは人間が根こそぎ取ってしまうから
営利目的で実のならない光もささない杉を植えてしまったから
今日本の山の半分近くが人工林です!
人工林は根を深くはらないので土砂崩れの原因となる
流れて川をせき止め氾濫させ多くの被害を招く
花粉は苦しめるだけ
地面には何も咲かない、生えてこない
今の山の現状を知って下さい
又母熊を殺してしまうのでその小熊達は餓死します
それは生きていく知恵を備わってないから
寿命が短くなっている、人間が駆除するから
毎年多くの熊が殺される
彼らはただ少ない餌を探して1日に何十kmも歩いているだけです
餌が少ないから
彼らに育てて植えることはできません
出来るのは私達人間だけです
私達が山を改善しなければ出没の問題は改善しません
コメント by 熊だっていろんな所にいってみたい — 2010/4/29 木曜日 @ 2:37:46
■熊だっていろんな所にいってみたい さん
どこかで、使い古された言葉ばっかりの羅列ですね。
もっと、時代に即した新しい「言葉」を使えないものでしょうか?
こういう言葉は、どこかの「カルト教団」の教祖が使用してますが、もう少し、熊や自然界や世間のことを勉強して賢くなっていかないと、バカな信者ひとりによって教団そのものが墓穴を掘りますよ。
オイラとしては、どんどん墓穴を掘って消えてもらいたい熊カルト、ですが。
コメント by gaku — 2010/4/29 木曜日 @ 10:45:24
初めまして
「原市場の今」http://plaza.rakuten.co.jp/haraitibafukusi/ のコメント欄から熊関連紹介でこちらに来ました。
そしたらこちらのコメント欄に当市(埼玉県飯能市)出身の「タイラ」さんがいらっしゃって驚きました。
もう人家の庭にまで熊が来ています。
熊の種類や大きさなどは分かりませんが、1匹目撃すれば10匹はいるとのこと、夜道が怖くなりました。
コメント by 武蔵のkei — 2010/6/23 水曜日 @ 19:03:08
■武蔵のkei さん
はじめまして。
日本は、世界でも有数な「森林大国」ですから、私たちの生活の場がどんな環境とつながっているのかをいつもそれぞれの地域で考えておく必要があろうかと思います。
クマにかぎらず、いろんな野生動物が思いのほか身近なところにやってきていることを再認識する時代にとっくになっているのですが。
ご近所で、キチンと野生動物のことを見れる人がいればより正確な情報も伝わって行きますから、クマはいるものと思って対処してください。
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のような時代錯誤の考えには決してならないこと、を祈ってます。
コメント by gaku — 2010/6/25 金曜日 @ 6:55:06