ツキノワグマに襲われて戦った人の話…
ツキノワグマに三脚もろともカメラを倒された現場は、渓流のほとりである。
実は、カメラを倒される3日前にすでに渓流で襲われた人がいるのである。
ボクのカメラからわずか20mの位置だった。
襲われた本人に聞けば、ボクの三脚が「見えた」と言っていた。
襲われた人は、Iさん47歳。
昼間の13時ころ、渓流上部で落ち葉が水門に入り込むのでそれらの撤去作業中に、防水型の携帯電話を渓流へ落としてしまったそうだ。
そこで、携帯電話を探すために渓流を駆け下ってきたところに、ツキノワグマがいたのだった。
Iさんは、クマと正対して、すぐに襲われた。
クマの大きさは50kgくらいだから決して大きいとはいえないが、いきなりIさんの左足の膝に噛みついてきたそうだ。
ここで幸運だったのが、Iさんのズボンがダブダブだったことである。
クマはそのだぶついたズボンに噛みついたから、膝へのダメージはほんの少しだった。
そのクマは、ズボンをくわえたまま放さなかったので、Iさんは右手でクマの首根っこをつかんで引き離したそうだ。
このときに、クマの毛をごっそりと引きちぎったらしく、見せてくれた。
クマは一応ズボンから口を放したが、再度Iさんを一回りしてから襲ってきたそうな。
このときにIさんは足で蹴りをいれて、クマの唇から血がでたところまで確認した。
さらにクマはもう一回襲ってきたので、Iさんもクマの胴体に再度蹴りをいれたら逃げていったという。
こうして一部始終を聞くことができたが、最初のクマとの出会いが正対していたから冷静に対応ができたとIさんは語っていた。
これが不意打ちだったら、大怪我を負っていたかもしれないともいった。
そして、膝の傷口を見せてくれたが、ほんのちょっとかさぶたができているだけなので、すごい武勇伝がどうもかすれてしまったみたいだ。
このあと、ボクも笑ってしまったが、襲われた本人にとっては、
『笑いごとではすまされん、に。』
といって、苦笑いをしていた。
まあ、今回は体重が50kg前後と小型のクマだったが、いたずらをしている子連れの母親は70kgほどある。
ほかには、100kgを超えるツキノワグマが5頭ほどいるから、やはり「笑いごと」ではすまされないだろう。
このような軽傷でのツキノワグマとの遭遇は、全国ニュースに載らないだけで、全国いたるところに転がっているのではないか。
写真上:ツキノワグマの牙は短いが、それでも3cmほどある。この写真のクマは体重50kgほどだった。
写真下:Iさんの怪我は小さくてほんとうにラッキーだった。



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