なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2006/10/28 土曜日   ツキノワグマ日記

ツキノワグマに襲われて戦った人の話…

クマの牙

ツキノワグマに三脚もろともカメラを倒された現場は、渓流のほとりである。

実は、カメラを倒される3日前にすでに渓流で襲われた人がいるのである。

ボクのカメラからわずか20mの位置だった。

襲われた本人に聞けば、ボクの三脚が「見えた」と言っていた。

襲われた人は、Iさん47歳。

昼間の13時ころ、渓流上部で落ち葉が水門に入り込むのでそれらの撤去作業中に、防水型の携帯電話を渓流へ落としてしまったそうだ。

そこで、携帯電話を探すために渓流を駆け下ってきたところに、ツキノワグマがいたのだった。

Iさんは、クマと正対して、すぐに襲われた。

クマの大きさは50kgくらいだから決して大きいとはいえないが、いきなりIさんの左足の膝に噛みついてきたそうだ。

ここで幸運だったのが、Iさんのズボンがダブダブだったことである。

クマはそのだぶついたズボンに噛みついたから、膝へのダメージはほんの少しだった。

そのクマは、ズボンをくわえたまま放さなかったので、Iさんは右手でクマの首根っこをつかんで引き離したそうだ。

このときに、クマの毛をごっそりと引きちぎったらしく、見せてくれた。

クマは一応ズボンから口を放したが、再度Iさんを一回りしてから襲ってきたそうな。

このときにIさんは足で蹴りをいれて、クマの唇から血がでたところまで確認した。

さらにクマはもう一回襲ってきたので、Iさんもクマの胴体に再度蹴りをいれたら逃げていったという。

怪我の一部

こうして一部始終を聞くことができたが、最初のクマとの出会いが正対していたから冷静に対応ができたとIさんは語っていた。

これが不意打ちだったら、大怪我を負っていたかもしれないともいった。

そして、膝の傷口を見せてくれたが、ほんのちょっとかさぶたができているだけなので、すごい武勇伝がどうもかすれてしまったみたいだ。

このあと、ボクも笑ってしまったが、襲われた本人にとっては、

『笑いごとではすまされん、に。』

といって、苦笑いをしていた。

まあ、今回は体重が50kg前後と小型のクマだったが、いたずらをしている子連れの母親は70kgほどある。

ほかには、100kgを超えるツキノワグマが5頭ほどいるから、やはり「笑いごと」ではすまされないだろう。

このような軽傷でのツキノワグマとの遭遇は、全国ニュースに載らないだけで、全国いたるところに転がっているのではないか。

写真上:ツキノワグマの牙は短いが、それでも3cmほどある。この写真のクマは体重50kgほどだった。

写真下:Iさんの怪我は小さくてほんとうにラッキーだった。

(from/ gaku )

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