ツキノワグマが再び死亡事故を起こす
長野県下伊那郡大鹿村で、またツキノワグマによる死者がでた。
キノコ採りにでかけた71歳になる男性が帰宅せず、捜索したところ「白沢山」で頭に大怪我をして死亡していたのだ。
顔などにはツキノワグマの爪あとが残っていたというから、襲われその反動で山の斜面を転落して頭を強打したにちがいない。
キノコ採りは、ひっそりと行動するから、ツキノワグマに不意打ちをされたのだろう。
現場となった山は別の動物の関係でボクもよく出かけていた場所でその急傾斜と険しさを知っているだけに、状況がある程度読みとれる。
しかも、その山はツキノワグマが普通に生息している場所でもあるからだ。
これで、長野県下だけでも今年に入ってツキノワグマによる死者は2人。片目を失明するほどの大怪我を負った人を含め、襲われた人は10数名になる。
このようなニュースを聞くたびに、日ごろのボクのフィールド歩きも慎重にならざるをえないと思っている。
とにかく、5歩進んでは周囲を見渡し、10歩進んでは再び山ガマに力をいれるといった行動を山中ではとっているからだ。そのくらい、ツキノワグマは身近に感じられるし、ときには背筋に寒さを覚えることも少なくない。
折りしも、長野県はツキノワグマ猟を自粛するように全県下の猟友会に異例の要請をした。
それに、猟友会も応えるかたちになった。
理由は、今年度(9月25日まで)だけでツキノワグマの捕殺数が232頭に達しているから、県が保護管理計画で定めている年間捕獲数150頭を大幅に超えているからだ。
長野県内に生息するツキノワグマは、1300〜2500頭と推定している。
目撃情報が増えているが、依然として絶滅の恐れがあるという。
山岳、山林野が大多数を占める長野県下にこの2500頭が多いか少ないかはわからないが、どのようにして数をはじきだしているのだろうか。
その調査方法をぜひ知りたい、と思っている。
少なくも、ここ3年間のツキノワグマの動きを体験的にボクが分析するには、ドングリなどの実り具合に関係なく活発化してきていることは確かだ。
このため、ツキノワグマの目撃や出没遭遇、事故はこのまま終焉に向かうとは思っていない。
ツキノワグマの事故は、今後減少はないにしても増加していくであろうと予測しているからだ。
来年、再来年のツキノワグマの動向をみてみれば、これまでの「ドングリ論」「針葉樹人工林論」「奥山からの下山論」「ゴミ問題論」「学習放獣」…など、人間だけに都合のよいオブラートで包んだ自然保護論を展開してきた人たちの論調を楽しみにしている。
また、これほどツキノワグマが活躍してくれると、私たちを含めた一般人の自然界に対する認識も変わらざるをえないから、ある意味ではいまのツキノワグマの動向をボクは歓迎もしている。
それは、行政も、研究者も、専門家も、一般人も、自然に対して本気にならざるをえなくなるきっかけともなるからだ。
写真:深夜出没してくるツキノワグマは、まったく足音も立てずにいきなりやってくる。ゴム鞠のように柔らかな手足の肉球が消音効果となっているのだが、そこに隠された爪は最大の武器でもある。


以前、gaku先生がご指摘なさっていたように、野生動物と人との接点が野生動物と人間社会の接点があいまいな生息環境で、世代交代を繰り返し出現してきた新世代クマの存在がやはり大きい気がします。
都市の環境に適応して進出してきたカワセミやチョウゲンボウ、クマネズミのように、クマも普通に見られる野生動物になってしまう・・・。
コメント by もっち — 2006/10/7 土曜日 @ 17:39:48