「オオタカ保護」と「ツキノワグマ保護」の共通性心理状態…

長野県は、県民に「森林税」を導入して森林整備をはじめている。
一人500円の特別税だが、ボクは法人だから2万円も払った。
これらの税金で雇用対策も進め、いま、猛烈な勢いで山林の整備がすすんでいる。
整備といっても、ほとんどが切りっぱなしで、倒木の放置状態のところが多い。
実は、この森林整備事業で樹木がどんどん間伐されたために、オオタカの営巣放棄が続いている。
これまでボクが観察してきたオオタカだけでも、すでに8巣が営巣しなくなった。
完全に、姿を消したのである。
オオタカといえば、長野県では絶滅危惧?類に指定されている。
これは、保護しなければならない理由があるから指定しているのである。
だから、これまでオオタカの営巣地が見つかっただけで、道路工事や開発がストップしてきた勇気ある「前例」がいくつもあった。
それなのに、いまでは、そのオオタカの営巣地をばんばん伐採しまくっているのである。
こうした、山林整備の理由のひとつには、長年にわたって山林を放置してきたから、ツキノワグマが里に出てきやすくなったので「整備」しようということもひとつ加わっている。
だから、ツキノワグマと人とのトラブルを軽減するためには、山林整備も必要なことと評価されていいだろう。
しかし、では、オオタカのことはどうなるのか?
地方の環境アセス会社に職を得て長野県へIターンしてきた青年が、オオタカの巣を理由に開発ストップをした歴史がある。
その青年がこんどは「ツキノワグマ研究会」に名を連ねて、ボクが40年も丁寧に見届けてきている中央アルプス山脈の自然環境豊かな山並みを指差して、「奥山が荒廃しているから熊を守らなければならない」、といって活動もしている。
ツキノワグマの生息環境からみれば、中央アルプスはまったく「荒廃」なんてしてない、のにである。
自然界の診断が的確にできて、樹木の生長時間という大きな流れの時間軸まで計算ができてのことなら、それもいいだろう。
しかし、時間軸がまったくズレたままで、自然界の動きなんていつまでたっても理解できない状態での保誤活動は、返って社会の混乱を招くものだ。
オオタカといえば、ボクはもう30数年も前に急激に数が増加しつづけていると拙著などでも指摘してきた。
そうしたら、野鳥関係者からはとんでもない「ホラ」だと言われたことがある。
そのくらい、自然の変化や動きを時間軸で追って見届けることのできない人には、オオタカは絶滅に向かって数を減らしていると思い込んでしまっているからだ。
それは裏を返せば、目の前にある自然の姿を的確に見ることもできず理解できないまま、巷間言われているまやかしの自然保護論だけを信じてしまっていることに問題がある。
だから、今日の森林税導入によってオオタカがたいへんな状況にあることも、野鳥に関心のある関係者にはまったく見えていないから、マスコミなども間伐の負の部分を報道できないのである。
この現実をこれまでオオタカ保護を唱えてきた愛鳥家は、いったいどこを見ているのだろうかと言いたい。
日曜日がくるたびに「探鳥会」を催して、自然保護と野鳥保護の啓蒙だとのたまうのもけっこうなことだが、間伐現場の観察会でも催しながら、現場で少しは生態系全体のことを考えてみる発想にいたってもいいではないか。
人の心の変化、社会の変化、経済の変化…など、あらゆることが自然界と一体になって深く関係しながら時代は動きつづけていることに気づいて欲しいものだ。
そうすれば、活動も行動も言動も、ちがってくるからである。
これはツキノワグマにもいえることであり、自然界の成り立ちをきちんと理解して、的確な自然観のもとでいまおかれているところのツキノワグマの状況を把握していかなければならないことと同じだからである。
しかし、これはオオタカと同じようなその時代の仮想敵ブームでツキノワグマを語っているにすぎない人ばかりだから、やがて飽きて離脱し、自然そのものを語らなくなってしまうことは目に見えている。
自然保護思想には、ボクはまったく反対しない。
自然に保護されて生きている人間なのだから、その自然環境を保全するのは当然だ。
なので、「保護」を言う前に、もっと確かな視線で自然界全体のことをボクは知らなければならないと思っている。
その活動のなかで、今回の森林税運用のこうした矛盾点が見えてしまったのである。
写真上:このような状況は一瞬にして片付けることはできないから、車で県内をまわれば山林の姿がたった一日でかなり見えてくるだろう。オオタカ、ノスリ、フクロウにとっては重大なことになっている。また、林床は倒木で歩きにくいから、もし熊とニアミスしたときの退路に支障をきたすだろう。
写真中:森林税の理由がわかりやすく表現されているが、この横断幕から60mのところにオオタカの巣はあった。
写真下:営巣放棄してしまったオオタカの巣。
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僕たちがここで見聞できるデータはgakuさんを氷山に見立てると、そのほんの一角かと思います。だから僕は時にうすっぺらなまたは的外れな事を書くやもしれません。
さてこの税金のお話に限らず、なぜ人は森林(荒廃してるとかいないとか)、ツキノワグマ、オオタカなど自然環境を包括的に見ることができないんでしょうか。オオタカが絶好調の森では、ツミやハイタカが激減したそうですが、伐採でスッキリするとツミやハイタカが回復してくるんでしょうか。←gakuさんのご本他から語らせて頂きました。
普通の人からみればかなり様々なジャンルにクビを突っ込んでいる僕ですが、同様に、物事を断片的にしか見られない人の多いこと。環境に関連する話だけでも、電気自動車、マイ箸、マイバッグ、太陽光・風力発電、ムリなリサイクルetc.。こんなもんなんも解決策にならない。包括的に見ることができればすぐに分かることなのに。
話思い切り飛ばさしてもらってスペースシャトル。「なんかの時の為に利用できるべ」と搭乗させて貰ってる日本人ゲスト搭乗員。結果の解ってる実験、「無重力って面白い」「地球ってこう見えるんですね」。なんて喜んでる。が!、日本の天文ファンは怒り心頭。「なぜ足下ばかり見てる!?折角大気圏外に行ったんだ、宇宙を見ろ!」。はい、そういう大事なオイシいところはNASAが食べてます。しっかり彼らの目は外を見てる。ハッブル宇宙望遠鏡故障で少しバレましたね。「FEYMには、カンケイナイコトデース!」みたいな。
これが現実。
コメント by どぶろく — 2009/5/17 日曜日 @ 11:33:14
我がフィールドも、開発を免れて残る事になり一安心はしたモノの・・・測量という名の下に木が切られています。
皆伐ではないので、むしろ萌芽更新を促すかな?と「保全=伐採」ということで理解しようとしていますが・・・やはり切りっぱなしの放置状態を見るにつけ、ひょっとして緑地こそが二酸化炭素を排出している現場なのではないのか?と思ってしまいます。
コメント by くまがい — 2009/5/17 日曜日 @ 22:56:26
■どぶろくさん
■くまがいさん
いまの時代は、ほんとうに確かな目で現代社会を見られない人ばかりになってしまいました。
環境問題などといいつつも、ほとんどがエセです。
愛護団体は、自分たちがいちばん環境のことや野鳥、動物のことを知っているつもりになっていますが、逢って話してみればじつはまったくの稚拙。
まさに、「愛誤団体」です。
行政もしかり。
なので、今後もばんばん発信していきますから。
ボクは現場を見てナンボの世界で生きているプロですから、現場に立ってタンボなんですよ。
コメント by gaku — 2009/5/30 土曜日 @ 11:47:55
はじめまして。長野在住で会計の仕事をしております。
記事本体ではなく、記事内の森林税についての記述が気になりまして一筆とりました。(本題に関係なくて、すみません)
森林税ですが、均等割の5%と決まっております。2万円は県民税の均等割で、その金額に対して5%の森林税1,000円を合わせて納付されたのではないでしょうか?森林税を2万円として納付したならば(相当する均等割の税額がありませんので)誤納付の可能性があります。申請すれば還付されると思います。
コメント by ぎん — 2009/11/10 火曜日 @ 16:15:51
ぎんさん、gakuさんが伝えたいことは租税の仕組みではなく、その「使われ方」でしょう。
現代社会には、あまりにも似非が多すぎて、冷静に対象への視線を注ぐ事が出来なくなっている。
それが故に、正体不明の「正義」が暴れ、現実から乖離した傍迷惑な良い子ちゃんが量産されてきた。
熊問題は、その典型です。熊の習性や本質を理解出来ない良い子ちゃん達が、もののけ姫的な人間→開発→悪の単純構図から抜け出せない。
厳しい環境でプロとして生きる者として、gakuさんの話には偽がなく共感します。
コメント by 銀 — 2010/4/27 火曜日 @ 15:26:11