なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2009/5/4 月曜日   ツキノワグマ日記

無人撮影自動カメラは熊の動きを見ている


今年も、ツキノワグマが活動をはじめた。
ボクのカメラには、4月20日にまず親子連れが撮影された。
その4日後には、大きな雄が記録された。

この無人撮影カメラは、もう、3年間同じ場所を一日も休まず監視している。
雨の日も、風の日も、厳冬日でも、とにかく一日も休まず春夏秋冬あらゆる時間帯にも対応しているのだ。
このカメラは、設計から組み立て、設置運営まで全部ボクが独りで行っているので、メンテナンスにも自信がある。
だから、機材は故障なく、まちがいなく稼動し続けているので、記録性にも自信がある。

こうして3年間の記録を見ていくと、けっこう親子連れの熊がよく撮影されるという事実だ。
絶滅が危ぶまれている希少種のツキノワグマだから、数が少なく、繁殖率も非常に低い、ということが巷間いい伝えられている。
しかし、毎年かなりの親子熊がコンスタントに撮影され続ける事実はいったいどう説明すればいいのだろうか。
毎年、確実に多数が出産をし続けている「事実」があるからである。
今年の初記録となった親子熊も、母親はおよそ50~60kgと小型ながら、2頭の2年仔を連れていた。

また、一日も休まず稼動しているカメラの記録では、出現頻度の年次変化はないのである。
異常気象で奥山のブナが不作だから里へ熊が出てくるとか、
ドングリが不作なので食べものを失って里へ熊がでてくる、
奥山が荒廃しているから、里へ熊がやってくるのだ。

などと、
このような意見がまことしやかに流されているが、熊の行動を見ている限り、それらを裏付ける材料などはまったく見られないからである。
ある猟師の説として、「2006年度の異常出没のときにたくさん捕獲しすぎたから、2007年度は数が減ってしまって目撃されないのだ」という意見もあった。
しかし、2007年度だって、ボクの無人撮影カメラには平年と同じ頻度で撮影され続けた。
だから、人目につく年とそうでない年があるのかもしれないが、熊たちは、しっかり普通に山野を潜行していることには変わりがないのである。

このことは、裏を返せば、それだけ密度濃く見続けているヒトがいないということなのだろう。
猟師だからといってつい話を信じてしまいがちだが、ライフルは持っていても自動撮影カメラの技術をもっている「猟師」は一人もいないので、ちょっと会話をしてみれば「ホラ」がすぐにバレるものである。
黙して語らない自然界のなかで、熊がいかに潜行しているかを知ることはこの現代社会のなかではとても大切なことだと思う。

だからボクは、何百というヘアトラップを自分のフィールドに仕掛け、無人撮影カメラで熊が確実に通るメインルートを探り、そこを行動する熊を知る。
これはまさに写真家として、究極なネイチャーゲームを楽しんでいるからである。

写真上:山野に咲くヤマザクラも、熊たちの行動ルートが分かるから、風景の見方も変わってくる。
写真下:ダンコウバイが咲き、ヤマザクラ、ウワミズザクラが咲くと、熊も花見をしながら活発に行動開始をする。

(from/ gaku )

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4 件のコメント »

  1. 他の方から教えて頂き、今初めての訪問です。
    少しですが読ませて頂き納得する部分が多いと感じました。

    コメント by 北の狩人 — 2009/5/4 月曜日 @ 15:01:32

  2. 他の方に教えて頂き、今 初めてアクセスしました。
    少しですが読ませて頂き、納得する部分が多いと感じました。
    これからは度々お邪魔させて頂きますので宜しくお願い致します。

    http://plaza.rakuten.co.jp/hantaa/

    コメント by 北の狩人 — 2009/5/4 月曜日 @ 15:07:25

  3. そうなんですよね、猟師の言う事はあまりあてになりません、私が言ってもなんですが。
    ただ、あくまで参考、私の猟場での事なのですが、一昨年度と昨年度では物は違いますが猪の動きは違いました。
    一昨年度、私の猟場ではドングリが豊作だった年なのですが、猪との出会いは向こうが逃げて、初めてこちらが気付くパターンでした、なので当然見送るばかりです、逃げるのうまいですからねぇ、撃っても当らないし‥。
    しかし昨年度はドングリが不作だった為、へたすると昼間から、大抵は夕方日没前から相手が動き始めるので見つけ易かったです、‥努力の甲斐も無く獲れませんでしたが‥、しかも年明け頃にはまったく気配が無くなりました。

    山の実りによって行動パターンを決定するのはあるみたいです。
    なにせ野生動物ですからねぇ、そのあたりは臨機応変だと思います。

    コメント by いち猟師 — 2009/5/4 月曜日 @ 23:34:31

  4. ■北の狩人さん、はじめまして。
    ブログ拝見させていただきました。
    自然界をめいっぱい楽しんでおられますね。とても素晴らしいこと、です。
    三毛別の熊嵐の現場には、一昨年の7月に行ってきました。
    苫前のほたて貝を模したホテル&温泉の駐車場はボクの稚内コースの仮眠場所にもなっていますよ。
    もちろん、温泉に入ってからの車中泊でしたが。

    ■いち猟師さん。
    ここ30年間で、イノシシはすごく変化してきています。
    行動的にも性格的にも…。
    そして、カイセン症もかなり蔓延していて、盛衰も激しくなってきています。
    熊へのカイセンも、観察テーマのひとつとなってきております。
    そのための定点撮影カメラは、とても重要と位置づけております。

    コメント by gaku — 2009/5/6 水曜日 @ 12:32:09

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