なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2009/1/22 木曜日   ツキノワグマ日記

栗と栗菓子と熊と餌付け


中央アルプス山麓にある町が、「栗の里」構想をうちだした。
栗菓子工場を誘致して、町内の遊休地に栗の木を植える。そこで実った栗を、栗菓子工場で加工販売をしていく。
このため、年寄りたちに呼びかけて、栗生産を奨励した。
とにかく、栗生産はそれほど労力がかからないから、お年寄りにぴったりの副業なのだ。
そんな触れ込みで、数年前から各地に栗の若木が目立つようになった。
桃栗三年柿八年とはよくいったもので、栗の苗木は3年ほどでたくさんの実をつけはじめた。

しかし、この計画はたぶん頓挫するであろう、とボクはみている。
栗の木はどんどん成長して大きくなり、収穫量も増えるであろう。
しかし、それを管理するはずのお年寄りは、年々腰が曲がっていくし、亡くなっていくのも時間の問題である。
残された栗の木を管理する人もいなくなり、放置されていけばツキノワグマにとっては絶好な餌場となる。
それは、目に見えることであり、栗菓子工場より熊の動向にボクは関心がある。
そんな矢先、予想どおりに熊が昨年の秋には栗園を荒らしていった。
樹高がまだ3mに満たない栗園にやってきて、栗の木に登ることなく、地上から手の届く範囲の枝をへし折って栗の実を食べていったからである。

何者かに捻じ曲げられた栗の木の枝をみつけて、お年寄りは誰の仕業かもわからなかった。
はじめは人間の仕業を疑い、ボクの知り合いの猟師が呼ばれて鑑定した結果が、「サル」ということで落ち着いた。
そんな噂を聞いて、ボクもその栗園へでかけてみると、捻じ曲げられた栗の枝は直径が4?5cmもあるではないか。
サルにそんな力は、ない。
熊の仕業であると、ボクは結論づけた。

「栗の里」構想の段階で、ボクはこのような事態になることを予測した。
そのとおりになったのだが、この予測はあまりにも早く的中した。
栗園の点在はかなり広がっているし、住宅地や通学路をまたいでいるところもある。
そんな栗園にツキノワグマが出現するとは、町民の誰もが想像できていないだろう。
まさに、「熊の里」づくりをしていることにも気づいていない。

さて、今年(2009年)の熊の出現はどうなるか?
栗園の点在と木の成長過程をみれば、熊がさらに数を増やしてくることも予測される。
これはたぶん、事件となるであろう。
登下校する子供たちの人身事故にならなければいいが、と願っている。

写真:ここ3年ほどで始まった栗事業の栗の木たちと実と環境など。

(from/ gaku )

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3 件のコメント »

  1. 僕の仕事で、新しい作物を導入した時と一緒ですね。一時的に害虫が増えますが、天敵が増え始めると少しずつ落ち着いてきます。
    この場合も、強烈な天敵が必要かもしれません。熊の肉売れませんか?

    コメント by おいかわ飯店 — 2009/1/27 火曜日 @ 21:41:19

  2. 熊の強烈な天敵は、やはり人間ですね。
    栗園周辺では、たぶん、そうなっていくと思います。
    熊肉は、東京方面での需要が多いそうで品薄気味らしいです。

    コメント by gaku — 2009/1/29 木曜日 @ 23:29:46

  3. 九州に熊はいませんのでわが家の隣の栗園がくまったことになる心配はありませんが、イノシシはやってきているようです。ワンコが夜中に吼えまくることがありますが、人間が夜中に歩いてやってくる場所ではありませんので、イノシシではないかと思います。イノシシが犬を無視して接近することは無いと思っていたのですが。

    近所を散歩すると、イノシシとシカの獣道と林道とが交差する場所だらけです。道端ではイノシシが勘太郎ミミズを掘ったらしい跡があちこちにあります。ワンコはそのような場所で興奮状態となります。家の裏の湿地にはヌタ場もできます。

    現在地に引っ越してから3年になり、毎年、自宅の南側に見える栗林の新緑を春に楽しみ、夏の日陰の恩恵を受け、秋には所有者から実を分けてもらっています。

    栗の木の生長の早さには驚きます。3年間に栗の木は二倍近く背丈が伸びました。道路にはみ出した場所で電線と電話線に枝が接触しています。所有者は近くの集落から自転車でやってきますが、足が不自由になり、栗林のメンテナンスをほとんどしなくなりました。枝の剪定は全くされていません。二年前に込み合った木が間引かれたのですが、すでに再び隙き間なしになっています。放置されていても、木が大きくなって秋の収穫は増えているようです。所有者は地面に落ちた実を毎朝拾い集めに来ていましたが、次の収穫ができなくなるかもしれません。

    コメント by beachmollusc — 2009/4/7 火曜日 @ 8:04:45

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