観光地のど真ん中にできたクマ棚
近所の林に一般人に見つかったらマズイものがあった。
「クマ棚」である。
クマ棚とは、ツキノワグマがクリやドングリの木に登って餌を食うために枝を折った跡である。
樹上で枝を折ってはたぐりよせて食べるために、折れた枝の塊が座布団のように棚状にできることをいう。
クリやドングリ以外にも、ウワミズザクラやクルミの木にもよくできる。
今回見つかったクマ棚は、山グリの木だった。
それも、2mくらいもある本格的に大きなクマ棚だった。
それがなぜマズイかといえば、観光地のど真ん中だからである。
観光客が散策する歩道から、わずか30mのところだ。
150m横には、民宿もある。
まあ、いまのところこのクマ棚は葉陰で見つけにくいが、冬になって周囲の葉が落ちると目だってしまう。
目立っても、それが「クマ棚」だと気づく人は少ないだろうが、気づいた人が騒ぎたてなければいいがと気がかりでもある。
もっとも、観光地のど真ん中といっても、ここへは昔からツキノワグマの出現があったところだ。
このようにクマ棚をつくらないかぎりその出現を知ることができないだけで、日常的に出没してきていることは確かな場所である。
今回のこのクマ棚だって、ツキノワグマがやってきていきなりクリの木に登ったワケではない。
ツキノワグマはクリの花の咲く春からこのクリの木を見て、途中で実の付きぐあいを観察しては食べごろを判断し、やっと今回の「クマ棚」となった次第だ。
だから、少なくもこのクリの木の下までは、春からの4ヶ月間に6〜7回は見回りにきているからである。
ツキノワグマはこのクリの木だけが目的ではないから、それ以外にも頻繁に近所を歩いてもいる。
そう考えてみると、身の回りの林をツキノワグマはひっそりとしかし大胆に人知れず行動していることがうかがえるから、ある意味ではこの現実をしっかり受けとめて私たちが配慮した行動をしなければならないだろう。
自然度の濃い観光地ではこうした野生動物からのサインをしっかり受けとめて、受け入れる側もやってくる側も、自然とはどういうものかと理解しなければならない。
そうした自然界への配慮が、現代人の私たちには欠けているところがある。
写真上:右側にある電柱から右手30mのところにクマ棚ができていた。
道路の奥にある建物は民宿。
写真中:矢印のところにクマ棚がある。
左側には歩道が見える。
写真下:クマ棚。茶色の葉が冬になっても残るから、そこだけ目立つようになる。




興味深深で、昨年10月のブログから一気に読まして頂きました。
私は岐阜市住まいですが、この県でも熊の出没が度々話題になっています。
自然との関り方は難しい問題ですね。美しい自然を後世に残したいとは思っていますが。
コメント by ヤンジジ — 2006/10/6 金曜日 @ 16:45:18
gaku先生、こんにちは。
僕もフィールドで熊棚を何とか探してみようと試みるのですが、ヤドリギだったり、枝が込み合っているものだったり・・・やはりそんなに甘くないっ!
まして、観光地の林の中に熊棚なんて最初から眼中にありませんので、このような重要なサインを見逃してしまいます。う〜ん、ダメですね。
>ヤンジジさん
はじめまして。
gaku先生のこのブログ、すごいですよね。このような視点でツキノワグマを捉えているサイトは、他に無いですよ。一気読みする気持ち良く解ります。
コメント by もっち — 2006/10/6 金曜日 @ 18:26:03
この場所には2箇所クマ棚がありますよ
私も良くこの道路を通りますがこんなに人が多くて賑やかなのに(昼間だけ)すぐ脇にクマ棚だなんて・・・。
gakuさんだから見つけられたものでしょうね〜、私だったら風が強かったから枯れ枝でも引っかかったんだろうな〜と思うくらいです。
PING:
TITLE: すごいブログだ!「ツキノワグマ」
BLOG NAME: 徒然日記
前回のブログで新刊「ツキノワグマ」を紹介したのだが、gaku先生がまたまたやってくれた。それは、ブログ「ツキノワグマ」だ。世間にはツキノワグマに関してのサイトは数あれど、フィールドワークに基づいた現場主
コメント by 北割H — 2006/11/9 木曜日 @ 18:31:14