なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2006/6/28 水曜日   ツキノワグマ日記

ツキノワグマに出会ったら戦う覚悟で山に行く

山鎌

どんなに忙しくてもツキノワグマのフィールドへは、ほぼ毎日でかけている。

林に入れば、むわーんとツキノワグマの体臭が臭ってくるし、真新しい糞にも出会う。

無人撮影カメラのデータからでも、かなり頻々とツキノワグマが出歩いていることは、分かっている。

だから、どこにいてもおかしくないから、慎重にならざるをえない。

5歩進んでは、周囲を見渡し。10歩進んでは立ち止まる。

ちょっとでも死角となるところでは、甲高くて大きな声をだしてボクの存在を伝えている。

ツキノワグマには出会いたいけれど、5m以内という至近距離では遠慮したい。

フィールドには、丸腰で出かけているが、その日の気分でときには「山鎌」をもつこともある。

最悪の結果となって戦わなければならないときは、この山鎌で応戦するしかない、と思っているからだ。

外国製品のクマ避けスプレーがあるが、これは「お仕置き」に使っているから、それを持ち歩くわけにはいかない。

わずかな臭いでも、スプレーを体験したことのあるクマなら、持っているだけで逆上して襲ってこないともかぎらない、からだ。

このためにも、フィールドでは糞に出会えば、膝まづき寝転がったりしてじっくり撮影をしながら、ボクの体臭を地面にすりつける。

もちろん、小便もいたるところにやって、ツキノワグマにボクという臭いを覚えてもらうことにしている。

クマのフィールドにいけば、危害のない人間だということを自分自身でマーキングして、覚えてもらうしかないからだ。

これは、サルなどの研究者が自分を覚えてもらって群れの内部に入り込んでいく方法と同じである。

ツキノワグマは非常に賢く、鼻も抜群によく、ニオイでかなりの部分を分析しながら日々行動をしている動物だから、こうしたちょっとした心遣いが「山親父」と付き合うには必要だとボクは信じているからである。

写真:ツキノワグマには使いたくないし、使ったこともないが、ボクの山鎌は年季がはいっている。

(from/ gaku )

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