散歩道でツキノワグマが人を襲う… 3
ツキノワグマ捕獲檻が仕掛けられて、2日目。
熊は、まだ捕獲檻には入っていない。
今回の捕獲檻は、ドラムカンを2個つなぎ合わせたもの。これは、捕獲した熊が内部で傷ついたりしないようにして「放獣」を目的にしているものである。
これに対して、鉄格子の檻があるが、この檻に熊が入ると逃げたくて鉄格子を齧るために、熊の歯がボロボロに欠けてしまったりする。このような熊を放獣してもその後の生活に支障をきたすので、鉄格子檻は「射殺」目的と考えていい。
一昨年は、この現場に鉄格子の檻が仕掛けられた。
そして、2週間ほどして熊がかかり、射殺された。
その同じ場所に、今回はドラムカンの「学習放獣」用の檻である。
学習放獣だから、捕獲した熊の性別や年齢をしらべ、体重を量ったり、歯を研究用に抜いたり、耳にタグをつけて、鼻面にとうがらしスプレーをぶっかけて、放つのである。
熊に対する目的が、なんとなく檻を見ただけでもわかる。
しかし、ここで考えなければならないことは、一昨年は射殺したが、その現場にすぐに別の個体が入ってきているということである。
昨年も、ここではかなりのツキノワグマの出現があったから、一頭や二頭射殺しても、予備軍がいるから次々に侵入してくるだけだ。
このような現象は、渓流でイワナやアマゴを釣っている人にはその生態が分かると思うが、それと同じ動きをツキノワグマがしているからである。
ここ1−2年、「学習放獣」が長野県では積極的に行われている。
そのために、ドラムカン檻が市町村に貸与されているから、ツキノワグマ出現=学習放獣が肯定的となった。
学習放獣を悪いとは言わないが、発信機などをつけた個体以外に放獣した個体のその後の追跡がまったくなされていないことには疑問を感じる。
放獣をした個体が、その後どのようなことをしているのか調査するだけの技術確立がなされないまま、安易に放獣だけを繰り返し続けることへの問題点である。
こうしたツキノワグマが、ボクのフィールドとしている中央アルプス山麓には少なくも10頭以上がいる。
10頭もいれば、「お仕置き」の際に人間を逆ねたみしたまま歩き回っている個体も必ずいるハズだとボクは考えている。
写真上:耳に「学習放獣」の証拠を示す赤タグをつけたまま「遊歩道」を歩く体重40kgほどの若いツキノワグマ。100kg以上の熊になるまでには、まだまだいろいろな出会いと経験があることだろう。
写真下:人間のための「遊歩道」だから、昼間にはかなりの人たちも利用している。



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