これはツキノワグマの冬眠穴…か?
ボクには、絶大な信頼のおける助手がいる。
イトちゃん、64歳。
本業は土建屋さんだが、彼の博学ぶりには感服している。
とにかく、動物から植物、魚類、自然界全般の知識と洞察力にはだれよりもたけているから、ボクは高く評価をしている。
だから、ボクと自然界のことを語れば「阿吽の呼吸」で、すべてが解決にいたるものである。
そんなイトちゃんが、今春こんなことを言ってきた。
『gakuさんよぅ、三の沢の上に砂防えん堤があるの知っているかぁー。そのえん堤脇にコンクリートブロックで石積みをしてあるところがあって、そこに穴があるんだよな。タヌキか何かが入っているらしく、出入り口も磨かれているんだよ。だけど、オレが思うには、タヌキにしては穴が大きすぎるんだよなぁー。クマが入っているかも知んねぇ。いつか見ておいてくれやぁー 』
こんな情報だけで、彼のヨミを信頼しているボクは、はやく確認しなければならないと思っていた。
しかし、お互いに忙しくて、現場にでかけたのは7月になってからだった。
その穴は、たしかに不気味な印象があった。
まちがいなく、何かが使っているものだが、タヌキ類にしてはあまりにも大きすぎる。
ここは、無人撮影ロボットカメラの出番であるが、カメラのローテーションが間に合わず、8月7日にやっと設置できた。
やはり、最大の目的は「ツキノワグマ」ではないかと、お互いに考えるところは一致していた。
しかし、巣穴をめぐる動きは思いどおりに目的を果たせなかった。
とにかく、地味な動きばかりを重ねていたからである。
だから、昨日(8月29日)カメラを回収するつもりで出かけた。
回収する前に、デジタルカメラのモニター確認をすれば、なんと前日(8月28日)の13時25分にツキノワグマの後姿が写っているではないか。
28日といえば、どしゃ降りの雨。
レンズが曇り、撮影条件の悪い日であったが、無人撮影ロボットカメラはツキノワグマの姿をまちがいなく記録していたのである。
ここで、カメラの回収を急遽やめて、そのままにしておくことにした。
このまま、冬が来るまで、いや一年以上にわたって記録する価値があると思ったから、だ。
自然界は、ほんとうに何が起こるかわからない。
とにかく、「黙して語らない世界」なのである。
それを語らせるには、こうしてロボットカメラが記録した映像から次なる分析に移ることで、見えない世界が点と線で結ばれていく、からだ。
だから、こうした作業は地道にやりつづけたほがいい。
これほど、おもしろい世界はない、からである。
ボクとイトちゃんは、すでに次なる動きを予測している、からでもある。
写真(1): 穴はこんなところにあった。掃きだされている土の量で内部の穴の広さまで想像できる。
写真(2):8月09日 7時35分 若いサルが穴をのぞいていた。
写真(3):8月12日14時46分 大きなサルが穴の前を通り過ぎた。
写真(4):8月21日 9時56分 リスが穴をのぞいていた。
写真(5):8月25日 4時02分 カモシカが穴をのぞきにきた、みたいだ。
写真(6):8月28日13時25分 ツキノワグマが通り過ぎたが、横目で穴をのぞいて行ったかもしれない。
※ ツキノワグマの行動時間をみれば、あらゆる時間帯にどこでも活動していることがこれでよくわかる。周辺の環境をボク自身は熟知しているだけに、自分の行動に関しても細心の注意が必要だということを、この写真から再認識した。
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このような穴も雪が積もった後と、今とではまったく存在価値が違うのでしょうね。
仮にクマが利用したら、冬眠中のクマは冬の間じっと寝ているのか?何てこともわかるのでしょうか。
コメント by ピッコロ — 2008/9/3 水曜日 @ 23:18:11
◆ピッコロさん、
>仮にクマが利用したら、冬眠中のクマは冬の間じっと寝ているのか?何てこともわかるのでしょうか。
とうぜん、すべてがわかりますよ。
ここのカメラは、その後の変化をさらに記録してくれています。
「黙して語らない自然界」を、まさに「知るよろこび」に変えてくれています。
コメント by gaku — 2008/9/6 土曜日 @ 8:57:46