なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2008/8/23 土曜日   ツキノワグマ日記

いよいよはじまったツキノワグマの活動

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実は、ここ数日ツキノワグマの動きが凄いことになっている。
ウワミズザクラが大豊作なのに食べていないと思っていたら、そんなことはなかったのである。
過去に登っていた木を思い出してチェックに出かけてみれば、なんと、ことごとくそれらの木に登っていたからである。
どうも、これで、どんなにウワミズザクラが大豊作でも、登る木とそうでない木のあることがはっきりしてきた。
クマと同じように、どの木にもボクは現場まで登ってみた。そして、食べ残しの実を口にふくんでみたのである。
しかし、クマが食べた木と食べなかったウワミズザクラの木の実の味を比べてみたが、どちらにも味のちがいはなかった。
クマは、登る木をどのようにして判断しているのか、これまた面白い宿題ができてしまった。

地上15m、20mといった現場まで、ボクは登っていく。
足には鉄製の1本爪をつけて、工事用ベルトを腰に巻き、両手をクマがやるみたいに幹にかけて、木を登るのである。
体重70kgのボクでも、そんなに苦労することなく熊棚まで行くことができるから、ツキノワグマは両足に10本の爪があり手にも10本の爪があるので、木にはラクラク登れるにちがいない。

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現場でボクは、カメラを構えるために両手を放した。
クマの視線になって、写真を撮らなければクマの気持ちにはなれないからだ。
胸ポケットには、いつもリコーGX200がはいっている。
このカメラは、ストロボの調光から超接写までできるスグレモノ。カメラテクニックさえ積んでいれば、ほんとうに使えるカメラだ。
こんなカメラを樹上で両手を放して操作できないようでは、プロ写真家としては失格だろう。
このくらいの芸当は、「鷲と鷹」を追っていたころからやってきているので、まだまだボクは現役である。

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1本のウワミズザクラの熊棚からは、200m足らずのところにホテルがみえた。
駐車場には車がたくさん止まり、人の出入りもある。
ホテルの横には温泉もあり、ここにも人があふれている。
そんな人間社会の風景を見ながら、ツキノワグマがゆっくりと食事をしていった。
それも、7月にはヤマザクラを食べ、ウワミズザクラだけでも3回は木に登った形跡がある。
彼等は、今日の人間社会をどのような視点で見ているのだろうか。
その辺のツキノワグマの心理が、ボクにはいちばん興味のあるところである。

写真上:熊棚からは、ホテルや駐車場が見える。
写真中:枝をねじ曲げたところには、クマの毛がついていた。
写真下:ウワミズザクラはすべて丸飲み状態なので、糞には種子が大量につまっている。これで、ツキノワグマは森の種子散布者だということがよくわかる。

(from/ gaku )

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