なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2008/1/11 金曜日   ツキノワグマ日記

ツキノワグマの「けもの道」

risukuma.jpg?

多くのツキノワグマが確実に通る「けもの道」を探すのは、ほんとうに難しかった。
中央アルプス山塊の10kmほどの範囲内に60箇所ほどのポイントを探しだし、根気よくデータをとっていった結果である。

その「けもの道」は、なんの変哲もないものだった。
クルミの木があって、奥には杉の木がある。
クルミの木の横には直径3cmほどのアブラチャンが生えていた。
ツキノワグマは、そのクルミの木とアブラチャンの間60cmほどをなぜか足しげく通るのだった。

そこは、よく見れば踏み固められた道のようにもみえるが、まず見落としてしまうものだった。
むしろ、その周辺に立派な道があるので、そちらのほうに気をとられてしまったが、その道はほとんどツキノワグマが歩かずイノシシだけだった。
こう判断できたのも、カメラを複数台設置してみてから、その結果が分かったからである。

とにかく、何故にクルミの木とアブラチャンの間だけをツキノワグマが通らなければならないかが不思議だった。
そこだけ、ツキノワグマたちが確かにたくさん通過しているのだから、やはりここはツキノワグマの「けもの道」といっていいのである。
そこで、もう少し周辺の動きも知りたくて、15m間隔で3箇所にカメラを設置して見張ってみた。
しかし、たったの15mなのに、まったく外れていくのだから、これも不思議だった。
15m横には、だれが見ても立派な「けもの道」があるのに、ツキノワグマはなぜかそこを通っていなかったからである。

setti.jpg

まあ、自然界なんてこんなものなのだから、驚きはそのままにして根気よく時間をかけていけばさらに見えないものが見えてくるだろう。
そう思っているから、自動撮影カメラは現在でもそのままにしてある。
こうして、同じところを何年間も見張ることで、確かな目を育てることができると思っている。

写真上:リスが遊ぶ道を、ツキノワグマが確実に通っていた。
写真下:左のクルミの木の元をなぜか足しげくツキノワグマたちが通過していった。

(from/ gaku )

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