なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2008/1/7 月曜日   ツキノワグマ日記

ツキノワグマ2007年の動き

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昨年は、後半の半年ばかりブログを休んでしまった。
理由は、無気力になったのと世間の熊ニュースがどのような形で報道されるのか動向も見てみたかったからだ。

結論からいえば、ツキノワグマの出没は少なかったらしくほとんどニュースにはならなかった。
しかし、ボクの自動撮影カメラには普段と変わらない動きで多数のツキノワグマたちが撮影されていた。その結果から、ツキノワグマは人間には目立たなかったが、例年どおりちゃんとふつうに潜行していたのである。

ツキノワグマの行動をみていると、大自然のなかをそれこそ縦横無尽に毛細血管のように歩いている。
そうかと思えば、この毛細血管が一箇所にあつまる大動脈のような「けもの道」もあるからだ。

この大動脈となるツキノワグマの「けもの道」を発見することは、至難の業である。
昔から腕利きの猟師は、この大動脈のあることを知っているので、ツキノワグマを確実にたくさん仕留めてきた。
その「けもの道」の見つけ方を猟師に教わろうとしても、それは猟師の企業秘密なので絶対に教えてはくれない。
だからボクは、猟師にできて自分にできないハズはないと思い、独自に調べあげてきた。
その結果、多くのツキノワグマの通る「けもの道」を発見できたのである。

ボクはかねてから、自分をカメラハンターだと思って行動している。
望遠レンズは、ライフル銃。
短いレンズは、罠。
自動撮影ロボットカメラは、漁師の定置網。
これらは、自然の機微を見抜く猟師と同じ感覚がなければできないことだからである。
自然を見抜く眼力次第で、猟の結果も左右されてくるからだ。
まあ、猟師たちとの決定的なちがいは、獲物の生命を直接奪うか、モデルとして「抜け殻」だけをいただくか、それくらいの差だろう。
だから、これは自分でも努力すれば自然界とは話ができて、ツキノワグマが必ず通る「けもの道」くらいは発見できると思っていた。

こうして見つけた大動脈となる「けもの道」に、昨年は自動撮影カメラを仕込んでみたのである。
それも、デジタル一眼レフカメラなので、現場では瞬時にして何月何日、何時何分何十秒にどのようなツキノワグマの動きがあったかが分かってしまう。
こうした積み重ねを、昨年は冬までやってみたのである。
さらには、何台ものデジタルカメラをあらゆるところに配置して、ツキノワグマを追っていた。
だから、ブログを書くよりカメラをいじっているほうが面白くて、ブログは放置してしまったのだった。

写真:昨年は、カメラを見つけると座り込んで、丁寧にチェックをいれていくクマが、春ころから出現していた。

(from/ gaku )

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4 Comments

  1.  初めまして。私は実は昨年の3月まで、某県のクマをはじめとする野生鳥獣の出没が多い林務事務所で野生鳥獣の現場関係を担当していました(名前の由来は「元林務事務所出身」をもじったところから来ています)。
     実は私は行政職(事務職)であり、野生鳥獣の専門家ではありません。だから現場での判断を委ねられた時は正直辛かったです(私の勉強不足を棚に上げている部分もありますが)。
     私は正直言って、ツキノワグマに関してはどんなに被害があっても「数が少ない」という理由で、また効果や安全性が絶対とは言い切れないのに放獣を推進するという方針に疑問を持っています(現場の住民にこれを納得してもらうのはすごく大変なのです。もちろん、何の防除対策もなく被害を出したら捕獲して捕殺すればいいという考え方も改めていかなければなりませんが)。
     また、逆にシカやイノシシ等「数が多すぎる」という理由だけで、個体数調整という名目の下、極端な話見かけただけで捕殺してもよいという方針にも疑問を持っています。
     そして、保護を唱えるだけの人の考え方にも・・・
     いずれにしても、人間中心の発想から抜けきっていないのかなと感じています。
     これから、機会があれば現場での体験談やそこで感じたことを書ければと思いますので、よろしくお願いします。

    Comment by もとりんむ — 2008/1/7 月曜日 @ 21:54:03

  2.  すいません。長々と自己紹介をしてしまって。
     そうですね。私も昨年はマスコミがツキノワグマの動向をどのように取り上げてくれるのかに興味(期待)がありました。
     私の県では、昨年は一昨年の影響からか地元紙は5?6月まではそれなりに取り上げていましたが、夏頃からはその頻度も激減してしまいました。これを見て「やはりマスコミは話題性だけでしか見ていないのか」と感じたものです。
     その後、知り合いに昨年の有害捕獲数を聞いてみたところ、捕獲数そのものは一昨年の約半数だったそうです。一昨年の数字に比べればかなり少ないです。
     しかし、この数字は4?5年前に記録した有害捕獲数と同じで、当時はそれなりに騒がれていたのです。それなのに、昨年は地元紙でもさらりと触れた程度でした。
     私は、正直言って地元紙は昨年の有害捕獲数をもっと重要視して取り上げてほしかったと思っています。一昨年あれだけ多くの個体を有害捕獲(しかも大部分は捕殺・・・)したにもかかわらず、昨年も当時騒がれていた4?5年前と同じ頭数を捕獲したのですから。昨年と一昨年の有害による捕獲頭数は、ツキノワグマの個体数が激減しているわけではないことをある意味証明してしまったとも言えるのですから。
     その上で「ツキノワグマの個体は本当に減っているのか?」、「本当に放獣だけでいいのか?」、「出没する地域に出没しないようにするにはどうすればいいのか?」、「ツキノワグマとの本当の共存とは何か?」といったところまで突っ込んでもらえれば良かったのですが・・・。
     でも、このままではいつしか取り上げられなくなり、大量出没時にまた騒ぐ・・・の繰り返しになりそうですね。

    Comment by もとりんむ — 2008/1/7 月曜日 @ 22:15:40

  3. もとりんむさん、はじめまして。
    いまの時代にいちばん必要で的を得たコメントをありがとうございました。

    >「ツキノワグマの個体は本当に減っているのか?」、
     「本当に放獣だけでいいのか?」、
     「出没する地域に出没しないようにするにはどうすればいいのか?」、
     「ツキノワグマとの本当の共存とは何か?」
     といったところまで突っ込んでもらえれば良かったのですが・・・。

    ↑ きちんと答えられる専門家にインタビューに行ってないから、マスコミもあのような報道結果になってしまうのでしょう。
    きちんと答えるにはそれなりに責任があるのですが、その責任を負えない「えせ専門家」が無責任発言をしてきているからだと思います。
    2007年以降の社会の動きなどは、このブログの過去ログでもきちんと予測をたててありますが、そのとおりになってきておりますね。

    今後は、新知見や問題提起など、少しずつやっていきますので、今後も現場での体験談など機会がありましたら、また教えてください。

    Comment by gaku — 2008/1/8 火曜日 @ 23:33:09

  4. この画像すごいです・・こうゆうことしている時の熊の表情も見てみたい!!です。

    今月天津小湊まで行く予定ですのでカメラだけではなくて双眼鏡も持参するつもりです(Q.Q)。

    Comment by はな — 2008/1/10 木曜日 @ 13:27:12

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