千葉県のツキノワグマ事情
ツキノワグマの痕跡を見たので、ボクは地元の人たちの意識を知りたいと思った。
こういう聞き込みは、地元の感触をつかむうえではとても大切なことなので、なにげにやってみることにした。
まず、近所でゲートボールをしているお年寄りのグループがいたので、聞いてみた。
お年寄りだし、この地域で生活している時間が長いので、思いがけないヒントが得られると思ったからだ。
gaku 『この房総半島には、ツキノワグマっているんですか?』
年寄り 『なに、ツキノワグマ、そんな怖い動物なんて千葉県にはいやしない。』
gaku 『いや、ツキノワグマが木に登ってドングリを食べたあとがあるのですよ。』
年寄り 『昔から、房総にはツキノワグマなんていやしないよ。そんなのワシらは信じんよ。』
さも迷惑な質問だったみたいで、結果はこんなものだった。
しばらく車を走らせていくと、かなり山中へ入った過疎の集落へたどりついた。
道端にお婆さんが腰を下ろしていたので、
『近所に猟師さんはいませんか?』と尋ねてみた。
お婆さん『あそこの家がそうよ。猟師やってるよ。』
そこは、まったく目の前の家であり、お婆さんとの会話が聞こえていた。
ちょうど猟師本人が庭にでて、園芸細工をやっているところだった。
gaku 『こんにちは、ボクは信州から来ましたが、猟師さんですって、ね。』
猟師 『ああ、そうだよ。』
この瞬間に、庭にいた4頭の犬たちがボクに向かって一斉に吠えはじめた。
紀州犬、四国犬、雑種と四国犬に似たF1たちだ。
犬を見ても、本格的な猟師だった。
猟師の年恰好は50歳前後。
gaku 『ところで、ここにはツキノワグマがいるのですか?』
猟師 『っえ! なんでまたそんなこと聞くぅ。』
gaku 『いや、来る途中でそれらしき痕跡を見たものですから、ご存知かと思って…』
猟師 『あんた、何者やぁー。』
gaku 『ボクは写真家ですけれど、ツキノワグマにもけっこう興味があるのですよ。
で、ふらりと房総半島までやってきたんですが、どうもツキノワグマがいるようなので。』
猟師 『あんた、信州のどこや?』
gaku 『伊那ですけれど。』
猟師 『そうかぁー 俺の親父も信州でなぁー よく行くんやぁー。
ツキノワグマは房総にはおらんことになっているけれど、ときどき出会ったという話もあるよ。
釣り人が出会って、竿をぶんなげて逃げてきた…とか。
俺らには、まだ出会ってないのでほんとのことは分からないん、よ。』
gaku 『やっぱり、そういう話があるのですね。』
猟師 『まあ、犬がクマを発見すれば、それなりの行動を示すけれど、俺はまだその辺のところは分からん。』
ここまで、話したところで、ボクは件のツキノワグマ痕跡をデジタルカメラのモニターに写して猟師に見せてあげた。
それを見て猟師は、経験がないのでまったく自信がないと言い切った。
そこで、現場の場所を詳しく説明しながら、名刺交換をして、今後の情報交換の約束もしたのだった。
このあと、また別の猟師に偶然であった。
その猟師はたったいまイノシシを罠で捕まえたところで、軽トラックに載せていた。
聞けば、ある地域の猟友会長だった。
そこで、ボクはまた同じような質問をしてみた。
猟友会長さんも、先ほどの猟師とほとんど同じ返事だった。
しかし、信州でのイノシシ事情を知っているボクからでてくる専門用語や体験談には、非常に興味があるようすだった。
このため、再度訪れることを約束して、ボクはその場を離れたのである。
まあ、これだけの聞き込みからでも、房総半島のツキノワグマはノーマークなことが伺えた。
こういうことは、ボクにとってますます面白い展開になってきそうだ。
なので、再訪を楽しみにしているところである。
写真上:房総半島ではイノシシ捕獲檻などがいたるところでみられたが、これはトリガーが硬く、捕獲率が低そうな代物だった。しかし、いつかはツキノワグマもこの檻に入るかもしれない。
写真下:シカ捕獲用の手作りの檻があったが、こんな檻にツキノワグマがかかればきわめて危険だ。
房総半島での檻捕獲は、全体的にまだまだ真剣度がないように感じた。
トラックバック URL :

わくわくしますねぇ・・・。
「ノーマークだからいない」ってのは「目に付くようになったから数増えている→だから殺してもいい」というのと同じ構図ですね。
そして、知識も興味もない人や何らかの意図を持った人が行政の委託を受けて調査した結果、「いなかった→だから開発してもいい」というのもノーマークと同じことだと思います。
コメント by くまがい — 2008/1/3 木曜日 @ 11:31:43