なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2011/10/15 土曜日   ツキノワグマ日記

「マタミール」でツキノワグマの社会構造を探る…

「クマクール」は、ツキノワグマがやってくると、大きさから全体像まである程度の予測はできる。
しかし、雌雄の差を探る決定的な判定力に欠けるところがあった。
このため、それを補うのに、全体像を撮影すると同時に股間も撮影できれば個体判定ができるのではないか、と考えた。そこでオイラは、2台のカメラを無人で同時操作してカメラの日時も2台同じように合わせておけば、撮影された2枚を照らし合わせることで、その個体を確実に判定できることを思いついた。

この股間撮影カメラは股を見るのだから「マタミール」とネーミングして、すぐさま運用を試みてみたのである。
その結果は、まさに考えた通りの成果を発揮した。これで、ツキノワグマの個体識別を格段に進歩させることができたのだった。

一回の出現チャンスで、ときには数十枚の撮影を2台のカメラが同時にやってくれるのでそれはそれは楽しい結果が待っていた。
そして、「マタミール」は単なる性器確認だけでなく、メス熊などはお腹にものすごい情報が隠されていることもわかった。
例えば、子育て真っ盛りの母親とか、過去に子供を産んだことのあるメスとか、まだ処女の若い個体とかが、腹部に一目瞭然でポイントが隠されていたからだった。
ここまで分かってしまうとは撮影してみるまでオイラも想像してなかったことなので、思いがけない発見にニンマリした次第である。
そして、これらの識別結果から2kmメッシュの間隔を考察すれば、中間の1kmという距離の意味も見えてきてツキノワグマの行動域をかなり正確に予測できることも分かった。

また、「クマクール」「マタミール」での撮影結果を分析すれば、ツキノワグマが現場でいろんな動きをすることもわかり、やりようによっては今後の研究テーマにたくさんのヒントを提供していることもわかった。
たとえば、今後DNA研究がツキノワグマを知る意味で重要な位置づけとなるのならば、「クマクール」「マタミール」で簡単にツキノワグマの体毛を採取することは可能だった。それも、100円ショップで売られているパーツでごっそり体毛を採ることができるからである。
また、お腹がこれほど雄弁に情報を語ってくれるのならば、100メートルほど離れた車の中で赤外線カメラモニターで監視を続けながら、遠隔操作で「焼き印」なども押せそうな気がする。これができれば、長期的な追跡での決定的な識別材料にもなるから、今後の検討材料には必要であろう。
さらには、ロボットアームで血液採取や麻酔まで打ってしまうことも可能性として残されていることもわかった。

まあオイラは写真家なので、とりあえずはそこまでする必要性はない、が。
しかし、アイデアと技術的実行性を考えてみれば、今後のツキノワグマの全体像を探る意味でもこのくらいの大胆発想による攻め方があってもいいのではないか、と思う。
それを可能せしめてしまうであろう「クマクール」「マタミール」は、まさに今後のツキノワグマの生態を知るうえでは欠かすことのできない調査方法の一つになるのではないか。
オイラは、自信をもって、そう感じている。

写真:

1)子育て授乳中の母親のお腹。
2)子供を産んだことのあるオバサンのお腹。
3)まだ処女の桃色桃尻少女軍団のお腹。こうした出産予備軍の割合で、今後のツキノワグマの生息事情まで予測できてしまう。
4)子供、大人の入り混じったオスたちのお腹。

(from/ gaku )

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