なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか?自然の変化を鋭く見つめ続けてきた動物カメラマン宮崎学が送る新メッセージ
2010/7/16 金曜日   ツキノワグマ日記

ツキノワグマが動物園にやってくる理由は…

岩手県盛岡市の動物園にツキノワグマがやってきたというニュースは、面白かった。
どこが面白いかといえば、「まさか」と予想してなかった人間たちの驚きぶりがオモシロかったのである。
ツキノワグマは野生動物だから、動物園になんて来ないものと安心しきっていた人間たちの無関心さがオイラにはめちゃくちゃ面白い、のである。

ツキノワグマの行動や習性を知らない人には説明しても分からないだろうが、熊は動物の臭いが好きだからである。
動物の糞尿や体臭が好きだし、これを嗅ぐと妙に落ち着くからである。
そして、ついでに、餌となるものがあれば頂戴していくというのが野生のツキノワグマの行動だから、動物園にかぎらず、養鱒場や養鯉場、養鶏場、養豚場、養牛場…など、動物が飼育されている周辺には必ず関心を示してやってきているのである。
その事実を目撃できていないだけのことであって、今回はたまたま目撃したから騒ぎになったというワケである。
なので、今後も意識して観察していれば、ツキノワグマは必ず再びやってくることはまちがいない。

これはなにも、岩手県だけの問題でなく、全国的にも当てはまることなのである。
そもそも動物園や公園は広い土地も必要だし、緑濃い自然環境のいいところに併設するものである。そして、その環境は野生動物たちの行動ルートにつながっているところが多いので、そのような立地条件をわれわれ現代人は視野にいれながら把握しておく必要があるからだ。

長野県でも、遠い岩手県でおきたツキノワグマ騒動だと安心しているところがあるのかもしれない。
しかし、飯田市にある市立動物園、松本市にあるアルプス動物公園、長野市の茶臼山動物園、須坂市の市立動物園は、現実にツキノワグマがいつ現れてもおかしくない立地条件にある。
いや、目撃されてないだけで、日常的に近所を徘徊している可能性は充分にあるといえる。
これら4つの動物園には実際にオイラも出かけているので、周辺環境がどうなっているかはよく知っている。
その上で、ツキノワグマの行動習性の視点で環境を見直せば、まちがいなく熊の徘徊コース上にあるから関係者は注意しておく必要があろう。

現在のツキノワグマは、素人さんが想像する以上に個体数が増えてきているので、今後はそうした環境をきちんと把握しながら私たちがどう対処していくかといったところにきているからである。
これまで日本の自然環境を甘くみて呑気に構えてきた現代人への反省点として、今回の動物園へのツキノワグマの出現はいいキッカケづくりとなったのではないか、と思っている。

写真:安心している現代人の心理をツキノワグマも笑っている。

(from/ gaku )

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